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■ 明治学院大学 国際平和研究所所長 勝俣誠氏 挨拶
・この場において、白書発表会を開くのは平和研究所の使命であると考えている。
・1863年、アメリカの大統領が言った「人々の人々による人々のための政治」という言葉はいつの時代にも増して、今重要になっている。その人々とは、単にある国の国民ではなく、地球に住むすべての人々を意味しなくてはならない。
・ アフリカの運命を決めるすべての機関(先進国、日欧米等)の決定に対して、アフリカの人々が自主的に討論に参加することが必要である。そして、すべての人々(各国の大使、NGOの人々、海外からの留学生、公務員、研究者、民間機関の人、学生など)がアフリカの直面している問題を分析し、どの様な解決策が可能なのかを自由に提言・共有した時、初めてポジティブな結果が生まれる、と考えている。
■ TCSF代表 大林 稔氏 アフリカ政策市民白書作成 趣旨の説明
・白書が主張する市民の参加こそODA改革プロセスの基礎である
(1) 市民の参加なき政策・改革には正統性はない
現在ODA組織・制度の抜本的改革が論じられているが、市民には改革の目的がなんなのかさえ明かされていない。選出の基準が明らかになっていない有識者会議は市民の代表ではない。市民の参加がなくODAや貧困削減に関心を持つ団体を排除して、財界や官僚の一部による密室の議論で決定される改革は正当性を欠く。
(2) 貧困との闘いをODA政策、アフリカ政策の目的とすべきだ
ODAは貧困を無くすことを使命とする組織によって担われるべきである。しかし、今日まで、日本には世界の貧困との闘いを掲げた公的な制度は存在しない。求められている改革は貧しい人と手を結び、彼らの努力を後押しすることに専念し、貧困を無くした実績が評価される組織制度を作ることである。現在のODAの一元化改革では、議論が誤って設定されている。なぜなら目的を問わない一元化、または目的を隠した一元化は何の解決にもならない。貧困やアフリカはこれまでしばしば明言されない目的実現の口実として利用されてきたし、こうした危険は、一元化により一層増大する可能性があるからだ。
■ TCSF副代表 石田洋子氏 市民白書 内容説明
・ TCSFは、「日本の対アフリカ政策がアフリカの人々にいっそう役立つものとなることを目指し、アフリカの草の根の声を日本に届ける」という目的のもとに設立され、アフリカ政策市民白書発行のほか、アフリカ援助アラート通信の発行、アフリカでのパートナーシップ・セミナー開催、アフリカ開発・援助にかかわるアドボカシー活動や広報活動等を行っている。
・ 本市民白書は、日本の対アフリカ政策について、アフリカ、アジア、そして日本の「市民の目」から評価を行うことを目指す。その特徴は主に3点で、1)アフリカ人主体の評価を目指した;2)貧困者の利益を評価基準とした;3)さまざまな分野の人間が協力し作成に携わった、ことである。
・ 白書出版を通じて、1)アフリカの人々の声を伝え;2)NGOによるアドボカシーを強化し;3)政策作成への市民参加を高め;4)市民社会を通したODA拡大を目指す。
・ TCSFでは、貧困と不平等がアフリカにとって重要かつ緊急の課題であると認識し、本白書第1号のテーマを「貧困と不平等を超えて」とした。貧困の定義について、アマルティア・センが主観的な効用や物質的な「財」による定義を超えた貧困概念を明らかにしたが、現状を見る限り、援助供与側による貧困とは、貧困者比率、栄養摂取量など物質的視点が中心となっている。しかし、アフリカ市民側からの貧困とは、能力的、社会的視点も入ってくるのではないか。不平等とは国家間および国内における格差である。世銀およびUNDPも、2005年の年次報告書でも、貧困削減と公正の問題を取り上げた経緯もある。
・日本のアフリカに対する国際貢献の焦点は開発援助だった。1993年からTICADプロセスを開始、これまで3回開催。日本の対アフリカ2国間ODA供与額は減少傾向に。貧困削減は優先課題として対応してきた。不平等については未だ対応していない。市民社会を通したODAおよび市民社会に対するODAの割合は非常に低い。
・セネガルNGOは、人々の生活に向上したものの、依然政府主体で市民参加の度合いは低く、日本からの技術移転が主で、地方分権化に対応していない、と日本の援助を評価している。提言としては、地元の技術活用や地方分権化の流れへの適合、社会政治問題解決への支援、対アジア輸出促進支援などがあげられた。
・ ケニアNGOによる評価の主な点は:教員や行政官の能力向上やインフラ整備などで一定の成果が認められるが、市民参加や政治的意思の欠如、政策決定が日本でなされる点や柔軟性の欠如、技術協力への偏重といった傾向が見られた。提言としては、市民社会参加のための制度作りやODA事業資金の情報開示、市民社会の政策提言能力・ODA研究の強化があげられた。
・TCSFによる評価としては、主に以下の項目があげられる。
・アフリカ市民のポテンシャルや希望について考慮されていない。
・アフリカは政策上二次的重要性の位置づけのまま。
・TICADプロセスは評価できるが、アフリカ市民、日本市民のTICADへの理解や参加が不十分。
・市民社会参加による政策作成や実施体制が未整備。
・相手国ニーズと資源配分が対応していない。
・アフリカ市民社会や民衆を直接ターゲットとする活動が限られる。
TCSFからの提言としては主に5つあり:
・アフリカ民衆の人間的発展を第1の政策目標とする政治意思を日本政府は再度明確にすべき。 ・アフリカ市民・民衆への包括的支援を強化すべき。 ・政策決定・援助改革プロセスへの市民社会参加を促進すべき。
・アフリカ市民社会を政府と同等の援助パートナーとすべき。
・アフリカ貧困者のためのTICADを実現すべき。
・ 第1号は執筆者の知見に基づいており、研究や市民社会の声が全般的に不足していたこと、アフリカNGOによる評価の活かし方が定まっていなかったこと、などが反省としてあげられる。今後具体的・効果的政策提言に向けて、より広く市民社会の声を盛り込み、実質的なメッセージを発信できるものにしたいと考えている。
● 5分休憩 ●
■ ENDA-Grafプログラム・オフィサー NDIAYE Mamadou氏
「セネガル市民社会から見た日本のODAと白書に対する期待」発表
・日本の途上国への協力には、日本国内の制約(限られた領土、農地への高まる需要、一次産品に対する需要、アジアの旧植民地との良好な関係の維持)が背景にあると思われる。
・ 日本は1960年に特にアジア・旧植民地を対象に開発援助を開始した。セネガルと外交を始めたのも同時期で、1980年にはJICA地域事務所が首都ダカールに設置された。
・ セネガルにおける日本の開発援助対象分野は、主に以下の通り:
1. 教育及び訓練(基礎教育における学校建設、青少年の教育環境改善のための研究、職業訓練センター開設・フォローアップなど)
2. 農林水産業(漁業用インフラ整備、漁業資源の持続的管理のための研究プログラム支援、漁業専門家能力向上支援、植林事業など)
3. 農村における水へのアクセス(109カ村110箇所の井戸設置、設備管理のためのトレーニング、など)
・ 日本の対セネガル開発援助に対しての評価は、以下の点に要約される。
・設備供与やインフラ開発において重要な貢献を果たしている。
・農業分野においての関与は限定されたものとなっている。
・ODAの大部分がインフラ供与に充てられ、その維持運営費用はコミュニティによって負担されている。
・日本のODAによるセネガルの国家政策への影響は限定的で、むしろセネガル政府の活動の限界を補完するにとどまっている。
・主に日本の技術を移転することに重点を置くプロジェクトが実施されている。
・セネガル市民社会との協働が限られている。
・ 以上のことから、これまでセネガルにおける日本の援助は技術的な解決に大きく偏り、社会や政治面から問題を解決しようとはしてこなかった、と言える。しかし、貧困とはただインフラや道具の不足から起こるものではない。社会や経済の機能不全から貧しい者を守れなくなる時にこそ、起こるものではないだろうか。今後の日本政府による包括的取組とセネガル市民社会との協働に期待したい。
● 20分間コーヒーブレーク ●
■ 来賓者からのコメント・メッセージ
ほっとけない世界の貧しさ 今田克司氏
『この白書はアフリカのNGOによる評価を踏まえていること、また貧困にあえぐ者のインタレストを第一に考え、そこから出発していることが素晴らしいと思う。
TICAD市民社会フォーラムも参加している今回のほっとけないキャンペーンは貧困削減を世界の政策のセンターステージに持っていくための活動である。これは貧困を無くすアドボカシー活動だが、このアドボカシー活動、啓発教育という語彙は日本ではまだ浸透していない。
こういった日本の現状の中で、この白書は大きな意味を持つと思う。貧困など自分たちとの関わりが薄く、関わりが分からないためピンと来ないことが多い。有効なアドボカシーのためには、多くある日本の市民の知らないという現状を解消する必要がある。
アフリカへなぜ援助をするべきかという問いかけについて昨今さまざまな議論があると思うが、今回キャンペーンをやってきて思ったことは、貧困はまさに不平等の問題であり、それが国内外の格差となり、自分たちの問題としてかえってくる、ということだった。
TBS某番組でDJが「地球は地元」という発言をしたがまさにその通り。環境問題、貧困問題がカリキュラムに取り入れたことで、生徒たちが貧困・不平等の問題を自分たちの問題としてとらえ、見つめ直すきっかけができたという話も聞いた。また、予想以上に若い人が貧困問題に興味を持っている事がうかがえた。
本キャンペーンは若者のキャンペーンと捉えられがちだが、調査の結果、多くの年代層に届いていることがわかった。しかし例外は40-50代の男性。世の中に最も大きな影響力を持っている男性にはなかなかストレートなメッセージが届いていないようだ。いろいろなキャンペーンの仕掛けをこれからも作っていかなくてはならない。政策アドボカシーづくりというものを市民社会主体でつくっていく、それを後押ししていく、というのは大切だと思うし、それができるポテンシャルがこの社会にはあるということを最後にお伝えしたい。』
セネガル大使(H. E. Mr. Gabriel Alexandre SAR)
『市民間の連携は、重要であり歓迎する。アフリカの貧困削減を考えるにあたってさまざまな分野が深く関わってくるが、セネガルのママドゥ氏のプレゼンテーションにも関係ある、特に農村における水資源へのアクセスについてあげたい。資源の持続的な維持管理をどのように図るかを考えるときに、地元住民の主体的な参加が不可欠である。』
エリトリア大使(H.E. Mr. ESTIFANOS Afeworki)
『市民白書完成を歓迎する。ここでは、アフリカ人のキャパシティについて触れたい。アフリカの貧しさばかりが捉えられがちだが、アフリカはとても裕福な大陸だ、ということを皆さんにお伝えしたい。このような豊富な資源あふれる大陸は他には見当たらないのではないか。そういった意味でもアフリカにはキャパシティがあり、そのアフリカにおいてインフラはキャパシティを発揮するのに重要。だからこそこの分野への援助は重要だと考える。その他にも勿論、教育・産業・ガバナンスなど大切な分野がある。政府間同士の支援・民間同士の支援・協力もまた考えていかねばならない重要な点である。』
ルワンダ大使(H.E. Dr. Emile RWAMASIRABO)
『市民白書の完成は、重要で有り、喜ばしいことである。アフリカ54カ国全体に有効な、one-fit-all的な政策というものはありえない。マクロとミクロのODA政策・事業のバランスが重要だと思われる。ひとつ重要だと思うのは、国家のキャパシティだ。もし国家のキャパシティが弱ければ貧困撲滅はなせないだろう。そして国家のキャパシティとは、官僚機構のみに限らない。農民たち市民社会も含めた国家のキャパシティを考えていかなければならない。貧困削減には貧困層の所得向上が不可欠で、そのためには、それまでお金を持っていなかった人たちのポケットにどう彼らが自身の手でお金を入れることができるのか、そのための支援できるのか、を考えねばならない。例えば農村の貧困を考えるときには、実践的にどのように農民の生産・販売能力を促進していくかを考えていかなければならない。』
ジブチ大使(H. E. Mr. Ismael GOULAL
BOUDINE)
『従来は政府間協力が主であったが、これからは日本とアフリカのシビル・ソサエティが協力していく必要がある。現地のコミュニティのニーズなどがよりポリシーに反映されるように、ソサエティ・ネットワークを強化していくべきである。今回のようなアフリカの現地NGOが日本来て意見を述べる機会を増やしていくべきである。』
世界銀行 副総裁兼駐日特別代表 吉村幸雄氏
『TICADは10年にあたって有意義な活動をしてきたはずなのに、残念なことに国内外において認知されていないというのは非常に残念に思っていた。これを機に日本とアフリカ社会が良い方向に発展していくことを祈りたい。アフリカの問題は貧困である、というのは確かにそうだが、かわいそうなイメージを訴えるだけの手法はもうやめようというのに同感である。シビル・ソサエティの重要性を認識し、市民社会も巻き込むプログラムを世銀は作りたいと考えている。』
UNICEF駐日事務所代表 浦元義照氏
『日本の対外政策介入分野はニーズが最も高い分野:水へのアクセス、教育、小規模インフラなどとなっている。市民社会(日本・アフリカ)がともに携えて政策提言の策定から携わるべきなのだろう。先ほどマクロとミクロのバランスをという発言があったが、その点には私も同感である。
市民白書作成を機会に市民社会との一層の政策交流・対話をはかれればと思う。アフリカは教会などを除いて市民社会のネットワークは弱いように見受けられるが、MDGs達成にはアフリカ市民社会、家族共同社会、市町村のキャパシティが強化されなければいけない。MDGsはたとえ平均値で達成できても取り残された人たちは多くいるだろう。そして乳幼児死亡率などの目標を見ている限りにおいて削減の速度が非常に遅い。キャパシティビルディングの話も出ていたが、家族や市町村レベルでのキャパシティ強化、そして彼らの参加が必要とされている。TICADはもう4回目、MDGs達成という具体的目標が存在し、アフリカの貧困は長い間話されているのだから、コンセプチュアルな話ではなく、もっと具体的な解決策を考えていかなければならない。最後に、いくらお金があっても政策があってもやる気がなければどうしようもない。先ほどのキャンペーンのようにいろいろな仕掛けをつくっていくことが今後とも大切なように思う。』
外務省中東アフリカ局アフリカ第二課首席事務官 正本謙一氏
『G8サミットや9月国連総会などでアフリカに焦点があたる年だった。アフリカの開発は一朝一夕で達成できるものではないので、今後とも一緒に考えていきたい。2008年TICADIVに向けて共催者である世銀や国連機関とともに、積極的にアフリカ支援に取り組んで生きたいと思う。』
国際協力銀行開発第4部次長 都合弘氏
『日本から国際社会へのメッセージとして、今後3年間で支援の倍増、また5年間で10億ドルの円借款を活用した民間セクター・投資基盤整備支援表明に基づき、当行はあらゆる援助モダリティを駆使し支援を開始した
第1にマグレブ諸国に加え、ナミビア、ケニアに対する通常借款スキームによるインフラ支援を検討中。第2に、アフリカ開発銀行との協調融資によるセネガル道路建設支援を検討中。本協調融資スキームによりHIPICs適用国に対しても、借款による支援が可能となった。第3に、同じアフリカ開発銀行や南部アフリカ開発銀行を活用したツーステップローンを検討中。第4に、タンザニアに対し世界銀行と協調する形でPRSCへの参画を検討中。白書の中でモダリティの変革について述べてあるが、このように当行はモダリティの変革に着手している。
次に援助内容面については、真の貧困削減につなげるために、住民の現金収入を高めることに寄与する分野への支援を重視すべきと考えている。中でも農業と流通が重要だと考える。したがって、灌漑、道路、港湾、農業信用・マイクロクレジット等が円借款の重点セクターであると考える。地域によっては企業投資(南部アフリカ)、資源輸出に関するインフラ整備もあり得るだろう。これらの重点セクターに円借款を供与するにしても、プロジェクトの中に技術支援、キャパビル、一部生産活動を含めなければ住民の収入向上に至らないのではないか。借款のみならず、無償、技プロ、専門家、研修等との連携は必須です。また、借款事業により公共料金徴収が発生したり、インフラの維持・管理等の面で受益者からの負担を伴う場合など、白書でも述べられているように、住民の意思決定への参加が重要だと考える。
ケニア・園芸作物事業の効果発現のために、SAPIを活用し、園芸作物の品質管理と市場開拓を行った。現在、作物はEU市場に空輸されており、結果として農民の現金収入は飛躍的に向上したことも事実。こうした実態経済面でのTAは、ケニア国内のその他地域や周辺諸国にも反復性がある。また、チュニジア・南部オアシス灌漑事業では、乾燥地の節水農業方法につきSAPIで支援しているが、こうしたグッドプラクティスを広報しつつ、アフリカの他の諸国への啓蒙を図り、灌漑事業を形成・実施する際には、チュニジアとの南南協力を促進したい。』
■ 事前に頂いていた各団体・機関からのメッセージ紹介
ODA改革ネットワーク・日本国際ボランティア 高橋清貴氏
『この度は、ODA市民白書第一号の完成、おめでとうございます。今年2005年は、私たちの地球社会、特にアフリカで深刻さをます貧困の問題に様々な政治の場で改めて光を当てられた重要な年でした。そのような意義深い年に、日本で、TICAD市民フォーラムが「南」の市民と協力して、市民の視点から援助のあり方を問い直す「白書」を発行したことは、貧困問題の解決に市民が直接的な支援だけでなく、政策レベルにおいても果たす役割があることを示す画期的なことだと思います。日本のODAは、今、大きな曲がり角に来ています。これまでのように省益や狭い意味での国益にとらわれた外交に援助を位置づけることは、既に時代遅れです。変わりつつある国際情勢をしっかりと見極め、日本にODAなどを通して国際社会の一員として果たすべき責任をきちんと果たせるためには、市民の役割がますます重要になってきていると思います。私たちODA改革ネットも、これからもTICAD市民フォーラムの皆さんと協力しながら、日本のODAをより良いものに変え、貧困問題解決の助けとなるよう努力していきたいと考えています。この度は、本当に、「白書」の完成、おめでとうございました。』
国連世界食糧計画日本事務所代表 玉村美保子氏
『この度、TICAD市民社会フォーラムがアフリカ政策市民白書第1号を発表されたことに対し、心からお慶び申し上げます。また貴フォーラムが「日本の対アフリカ政策がアフリカの人々に一層役立つものとなることを目指し、アフリカの草の根の声を日本に届ける」という目的の達成のため、学会・実務者・民間企業・NGOや市民と協力して意欲的に活動をされていることに、この場を借りて敬意の念を表します。特にこの度まとめられた、「貧困と不平等を超えて~アフリカ政策の市民的評価の試み~アフリカ政策市民白書2005」はアフリカ市民社会に最も近い立場として、アフリカNGOの視点から日本の対アフリカ政策の成果を客観的に評価されていると同時に、問題点を的確に指摘されています。
WFP国連政界食糧計画は、国連唯一の食糧援助期間として、1961年の設立以来40年以上にわたって緊急援助、開発援助に取り組んできました。世界全体での食糧援助量は昨年は約750万トンにのぼり、WFPはその半分以上を担っています。地域的に見てみますと、昨年はサハラ以南アフリカ地域が全体のニーズのおよそ6割を占め、WFP最大の援助地域です。一方WFPに対する日本政府の拠出でも、今年は約4割がアフリカ向けとなっており、アフリカが今後も日本政府の重点地域であることは疑う余地がありません。
貧困者への「直接的支援」や「資金配分の拡大」など、今回発表された白書で述べられていることは、我々WFPの理念や、現場での活動と共通するものが多くあると感じております。また、「貧困と不平等」の問題を乗り越えるために、WFPは学校給食活動による教育プログラムの促進、労働の対価としての食糧援助を通じた地域コミュニティーの開発など、付加価値の高い食糧援助にも力をいれ、今後とも日本政府・民間企業・NGO及び市民と手を携えて、アフリカの飢餓問題・貧困問題の解決に向けて活動を続けていきたいと考えております。本年11月24日には、貴フォーラム代表理事である大林稔教授のお力添えもあり、龍谷大学にてWFP事務局次長の公開講演会を行うことができました。誠にありがとうございました。今後も、日本の対アフリカ政策を軸に、互いに協力関係を保ちながら発展していくことを、また、TICAD市民社会フォーラムがますますお力を発揮されることをお祈りし、祝辞とさせて頂きます。』
独立行政法人国際協力機構 アフリカ部 部長黒川恒男氏
『TICAD市民フォーラム白書第一号の完成おめでとうございます。TCSFの皆さんとJICAアフリカ部は、ワークショップやセミナーの相互乗り入れを初め、日常的な意見交換をしております。大林代表をはじめ事務局の方々とは、時に厳しく、時にのんびりと交際を続けております。今後ともよろしくお願いします。人間の安全保障は、JICAのアフリカでの行動形態を変えつつあります。アフリカと日本の市民社会への目配りも強化しなければならないと考えます。今後のアフリカ支援事業において、市民社会はさらに主役の役割りを果たしていくべきと考えます。ますますの活躍を期待します。』
■ フロアからのコメント及び質疑応答
質問1:
なぜアフリカはあらゆる全ての努力がなされているにもかかわらず、なぜ発展できないのだろうか。政府・市民社会ともにアフリカが抱える挑戦は、援助が止まった後も持続的に自立していくことができるのかということではないかと思う。どのように貧困層が自分たちで貧困を打ち破ることができるのか、ということを考えていかなければならない。
(大林回答)
アフリカがなぜ発展しなかったのかについてはあまりに広い議論なので、とりあえずなぜアフリカで様々な援助プロジェクトが展開され、持続性がなかったのか、という点について触れたい。日本の援助はアジアが中心だった。それまでは援助は一括して考えられており、アフリカでの特殊な問題は十分に考えられてこなかった、と思われる。その最大の原因は、日本の予算の問題。援助が終われば、維持管理にかかる人員・費用は出なかった。昨今は財政支援が叫ばれる傾向にあるが、財政支援にもまた弱点がある。財政支援が機能するためにはガバナンスが不可欠であるということだ。そして政府のガバナンス改善は政府に対する研修だけではなしえない。市民社会もまたそこに参加し政府とともに学び政府を監視することができなければ、ガバナンス改善には至らないだろう。プロジェクトの成否には、財政の面と市民参加の問題が大きく関わっていると思われる。
(ママドゥ)
市民社会による政府の監視、という点について一点述べたい。アフリカの貧困と開発にかかわる重要な多くの決断は国家のレベルでなく、国家の枠を越えて国際レベルで行われている。経済的に重要な決断の多くは実はセネガルで行われておらず、セネガル国外で行われている。そしてその決断は突然変更され、停止されることもある。国家という枠にとどまらず、国際レベルでの「監視」及びそのための連携が求められている。
質問2:
日本のNGOはどのようにアフリカで活動し、アフリカのNGOとどのように協働しているのか?日本語を読めない国のものが日本のNGOにアクセスするのは非常に難しい。
(大林回答)
日本のNGOのリストに関しては、アフリカ日本協議会のウェブサイトにいくらか情報があるので是非ご参照を。ただ一般的に日本のNGOはアフリカNGOとの協力・連携が弱いといえる。アフリカに関わっているNGOも多くは自身で直接事業を実施するものが多く、アフリカの団体を支援するというケースは少ない。またぜひ知って頂きたいのは、日本のNGOは場合によってアフリカより弱い、ということ。日本のNGOで有給職員がいる団体は全体の半分くらい。現地のNGOに資金と技術を供与することができていないという現状がある。
コメント:
白書について
本日発表の市民白書をどう活かしていくかについて2点述べたい。夏に南部アフリカ各国の障害者が日本でJICA研修を受けに来日。その際、日本で障害者自立支援法をめぐる議論についての報道を見て、ジンバブウェの障害者が、日本ではこのように多くの人が取り組んでいるのか、自分たちの国でもこのように大きな活動にしていきたい、と語っていたのが印象的だった。国際協力について援助にかかわる人たちだけが話していても見えてこない、という話を思い出した。今後援助をエンパワメントの中で捉え考えていく上で重要だと思った。2点目はエイズ対策。現在どの国であろうと、エイズで苦しむ人々を見過ごしてはいけないというコンセンサスができつつある。そういった動きを援助にどのように連携させていくのかを考えていく必要がある。世界マラリア対策基金のような機構を参考にしながら、どのように連携を図り対策を練っていくのかを議論していく必要がある。
今後も毎年このような白書を作られるということで2点ほど述べたい。ひとつはもう少しマルチの視点があってもよいのではということ。日本の援助がどのようにアフリカに入っているのかというのは非常に詳しく書かれているが、世界の援助の中でどのようなポジションにあるのか、勝っているのか劣っているのか、日本の援助についてどういった議論が(他のドナーとの比較において)あるのか、という視点があると良い。2点目は、TICADIIIでは南南協力という言葉が叫ばれていたことと思う。TCSFではどう考えているか。
FAO日本事務所所長代理からのメッセージ
70%人口が農村に住み1次産業に頼っているアフリカにおいて、FAOは様々な支援活動を行っており、日本政府との関連でいえばNERICA、砂漠化・移動性バッタ対策などに取り組んでいる。今後も各活動において市民社会との更なる連携を望む。
最後にTCSF代表大林氏からのまとめをもって閉会した。
大林
あいさつ:
様々なコメントを頂き、本日の結論として主に3つ述べたい。
貧しさ、とりわけ発展途上国における貧しさと闘うことの重要性があらためて確認できたと思う。貧しさと闘うということは、アフリカで貧困と闘っている人たちをどのように支援するか、ということでもあり、この点について引き続き考えていかねばならない。
2点目は日本政府もこの点を認識し、援助増額などアフリカの貧困削減へ更にコミットする意思があるということも明らかになったと思う。
3点目は、貧困との闘いにおいて、市民社会は重要なアクターであり、意思決定に参加すべき重要な存在であることを再確認できたということ。
この3点において合意がとれたのではないかと思っている。
このアフリカ市民政策白書は英訳(予算があれば仏訳も)し、ウェブに載せ、日本国内のみでなくアフリカ社会及び国際社会へ積極的に発信・提言していきたいと考えている。
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