| ■□ 2005年 モザンビーク・日本市民社会パートナーシップセミナー 報告書 |
2005年9月 |
開催日 : 2005年8月3日 14時~17時
開催場所 : LINKミーティングルーム(マプト・モザンビーク)
主 催 : TICAD市民社会フォーラム(TCSF)
共 催 : LINK・駐モザンビーク日本大使館・JICA
参加NGO : ACORD(農村開発)・ACRIDEC(農村開発)・AMOPROC (市民教育)・CIREM(宗教)・
KULIMA(コミュニティ開発)・ LIVANINGO(環境団体)・OACD(子ども支援)・RC(子ども支援)・
AMOCRIP(犯罪者社会公正)、他
日本側参加者 : 舩田クラーセン(TCSF)・須藤(JICA)・東(日本大使館)・岩田(TCSF)
飛び入り参加 : 津嶋駐モザンビーク日本大使
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■□ 背景と目的
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日本のODAは、アフリカに対する二国間援助全体の10%を占めています。投資全体に占める援助依存が25%にもなるアフリカでは、日本の対アフリカ政策は人々の暮らしに大きな影響力を持っています。
TICAD市民社会フォーラム(TCSF)の構想は、2003年に開催された第3回東京アフリカ開発会議(TICAD-Ⅲ)に市民の声を届けるための活動をきっかけとして生まれました。真にアフリカの人々の役に立つ援助となるには、アフリカの人々が中心となった開発であること、そのためには、日本・アフリカ・アジアの市民社会が協力し、しっかりとしたネットワークを結成する必要があると考えたためです。
TCSFの活動は、次の3本柱が中心です。 1.
ネットワーキング:議論の場づくり 2. シンクタンク:対アフリカ政策・援助事業の調査分析活動 3.
政策提言:アドボカシー&ロビーイング
パートナーシップ・セミナーワーキンググループは、ネットワーキング作りを目的に活動しています。アフリカ各地でセミナーを組織し、アフリカのNGOと日本の援助関係者が政策と援助についての情報交換をし、改善に向けた議論をする場を提供するものです。 そのための第1回目のセミナーがモザンビークで開催されました。
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■□ 【 プ ロ グ ラ ム 】
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<第一部>
「お互いを良く知るために」
(司会 ピキタイ:LINK)
1.日本―アフリカ(モザンビーク)関係
(舩田クラーセン:TCSF副代表) 1.1. 日本―アフリカ(モザンビーク)関係の変容 19世紀末~1990年代 1.2. TICAD開催とTICAD市民社会フォーラムの結成 1.3. 日本の市民社会の概観(歴史と傾向)
2.モザンビークにおける市民社会 (アモッセ:LINK代表) 2.1. モザンビークにおける市民社会の形成とその特徴 2.2. モザンビーク市民社会の挑戦 3.意見交換
<第二部>
「日本の資金へのアクセスの改善と将来の協力について」
1.
草の根・人間の安全保障無償資金協力について
(東:日本大使館三等書記官) 1.1. 草の根・人間の安全保障無償資金協力とは? 1.2. モザンビークにおける実績 2. モザンビークにおけるJICA
(須藤:JICAモザンビーク事務所次長) 2.1. モザンビークにおけるJICAプロジェクト 2.2. JICAとNGO協力の可能性
3. 討論 3.1. 在アフリカ日本大使館担当者・受益NGOへのアンケート結果紹介
(舩田クラーセン) 3.2. 討論
添付資料1:
草の根・人間の安全保障無償資金協力受益NGOによる TCSFアンケート回答
添付資料2:
アフリカNGO アンケート集計結果 回答NGO数:26件 (2005年7月30日現在)
1.
回答NGO団体一覧/参加意思 別紙参照
2.個別質問結果
添付資料3
草の根無償アンケート調査報告
「開発資金へのアクセスを考える:アフリカのNGOと草の根無償」
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■□ <第一部>
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1. 日本―アフリカ(モザンビーク)関係 (舩田クラーセン:TCSF)
1.1. 日本―アフリカ(モザンビーク)関係の変容 19世紀末~1990年代
19世紀末から1990年代までにおける日本とアフリカ(モザンビーク)の関係は大きく四段階に分けられる。
第一段階は19世紀末から1920年代にかけてである。この時期に、日本政府は植民地支配に関心を抱き始め、政府高官2名を派遣するなどして、国際的な日本の位置付けを模索し始めた。一方で、カラユキさん始め、個人でアフリカに移民する人がすでにおり、個人レベルでの関係は築かれていたといえる。(モザンビークにも、1921年の時点でチトという名前のカラユキさんがいたことが分かっている。おそらく、彼女が日本人として最初の定住者であろう。)
(舩田クラーセンTCSF副代表 ©2005TCSF )
第二段階は1920年代後半から1960年代である。この時期のもっとも大きな出来事は第二次世界大戦である。日本とアフリカとの関係もこの戦争を境に変貌した。戦前は定期航路が開通したことで貿易が拡大し、日―ア関係の構築が図られた。この関係は主に一次資源をめぐるものであった。しかし第二次世界大戦の開戦により、日本とヨーロッパ諸国の植民地であるアフリカ地域の関係も断絶した。
第三段階は1960年代から1980年代である。第二次世界大戦中・大戦後の長い関係断絶後、高度経済成長を遂げた日本は、この時期にODAを通じてアフリカとの関係を再構築し始める。しかしその一方で外交面では、日本は日米同盟に代表されるように西側諸国の一員であったため、アフリカの植民地解放運動や社会主義あるいは共産主義諸国とは距離を置いた関係となった。民間交流は限られた。日本は政府として、植民地支配あるいは白人少数者支配下のアフリカの解放に力を注いだわけではなかった。日本の市民社会もまた一部はアフリカの解放に参加したものの、大半はこの点について理解がなく、無関心であった。(1975年までNATO加盟国ポルトガルの支配下に置かれたモザンビークとの関係でも、同様のことが言える。)
1980年代後半から90年代に日本は、第三段階から第四段階への移行期を迎える。日本ではバブル経済の絶世期に突入し、企業の海外進出などが問題化し、「国際化」が課題となる。これを受けて、この時期に日本のODA総額は世界一になり、対アフリカODAも85年に過去最高額に達する。このように世界一の援助国、経済大国になった日本は冷戦構造終焉の中で自身の世界での役割を模索する。(モザンビークとの関係では、マルクス・レーニン主義を標榜していたモザンビーク政府がアメリカ政府に軟化姿勢を見せ近づいたことから、アメリカ政府の依頼で日本の対モザンビークODAが開始される。これが、オフィシャルな日本―モザンビーク関係の開始を意味する。)
1990年代より、日本とアフリカの関係は第四段階に入る。国連常任理事国入りを目指す日本は、まずPKOミッションへの自衛隊派遣を認め、モザンビークにも自衛隊が派遣された。また、TICAD開催やアフリカ諸国への外交団派遣などを通して、冷戦期・アパルトヘイト体制下で関係構築ができなかったアフリカ諸国との和解、さらには関係強化に努める。ただしODAは減少しており、アフリカへの援助額は全体の10%前後にすぎず、この期間も対アフリカODAはついに85年の水準には戻らなかった。またアジアが技術協力中心であるのに対して、アフリカへの援助の大半が無償資金協力になっている。 日本のODAの市民社会関連拠出は2%に満たない。これは他のドナーと比べて極端に異なっている点である。以上の特徴が、日本ODAとアフリカ市民社会との連携を難しくしている一要因でもある。
1.2. TICAD開催とTICAD市民社会フォーラムの結成
TICAD(Tokyo
International Conference on African
Development:東京アフリカ開発会議)は、日本政府が国際機関と共催するアフリカ開発をテーマとする国際会議で、日本のアフリカ政策において最も重要なツールのひとつである。TICADは「パートナーシップ」と「オーナーシップ」を理念に、1993、1998、2003年とすでに3回開催されており、TICAD-Ⅲにはアフリカ50余カ国のうち、24カ国から首脳が出席した。外務省もTICADを「日本のアフリカ外交の最大の資産」と評価して、特にTICAD-Ⅲ以後は、新しい案件の合意の際にTICADに言及するようになっている。
しかしその一方で、TICADの理念となっている「パートナーシップ」、「オーナーシップ」とはあくまで政府レベルのことを言っているのに過ぎないのではないか、市民社会は未だに「オブザーバー」としての参加であり、その役割の重要性への言及がないのではないかという批判も出てきた。そして、開発とは政府がするものなのか、アフリカの開発は誰のためのものなのかといった議論も行われている。さらにその中で、そもそもTICADがアフリカ開発の会議であるにもかかわらず、「外交会議」となっているのは、納税者であり市民である日本の市民社会の「弱さ」(政府へのロビー活動の弱さ;キャパシティの脆弱性;アフリカ市民社会との関係の弱さ)に拠るのではないかという意見も出されている。
1.3. 日本の市民社会の概観(歴史と傾向)
日本の市民社会は、その概念が西欧的なものであるがゆえに、歴史が浅い。第二次世界大戦期には、総動員体制により、市民社会が政府機関化した。これは、モザンビークが内戦中に経験したことと類似している。戦後、ベトナム戦争への反対運動がきっかけとなり、市民社会の形成が進んだ。しかし、この反戦運動は同時に反政府運動でもあったため、市民社会が政府と対になるものとして捉えられるという誤解も生じた。その後、人道・開発援助分野のNGOが勃興し始め、阪神・淡路大震災の後押しもあり、これらのNGOと政府との協力が進む。両者の協力が進むにつれて、市民社会活動のグローバル化が始まり、それと同時に市民社会のアドボカシー活動の重要性が高まってきた。日本の市民社会は今後、その基盤の脆弱性の克服が求められており、独立性・専門性・民衆性確保に挑戦している。
このような流れの中でTCSFは、アフリカ開発の中心は民衆・市民社会であるべきというビジョンを掲げ、日本の対アフリカ政策(援助を含む)を民衆・市民社会中心のものへ転換することをミッションとし、活動をしている。特に日本のODAの2%だけが市民社会向けのものである点に着目し、これを変えていく必要があると考えている。 |
2. モザンビークにおける市民社会 (アモッセ:LINK代表)
2.1. モザンビークにおける市民社会の形成とその特徴
モザンビークの市民社会は多様であり、宗教団体・アソシエーション・アドボカシー団体・開発関係のNGO・メディアや情報・コミュニティ団体に分けられる。中でも伝統的に強いのが、宗教団体である。植民地末期の解放戦争期・独立後の紛争の終焉に宗教団体が果たした役割は大きかった。コミュニティ団体への期待は高いが、まだ形成途上である感が否めない。しかし、どの団体もここへのアクセスが重要と認識している。
NGOそのものは、90年代の複数政党化以降盛んになった。日本の戦時体制と同じような体制下で自由な政治結社づくりは困難であった。そのような中、モザンビークのNGO連合としてのLINKの結成は早く、1993年に発足した。多様な意見をフォーラム機能ですくい上げ、効果的なアドボカシー活動を行うことを目的として結成された。国民的課題に対して、市民社会のプラットフォームとなろうとしている。

アモッセLINK代表の報告の様子 ©2005TCSF
2.2. モザンビーク市民社会の挑戦
モザンビーク市民社会が抱える課題は沢山ある。コミュニティ・ベース団体は流動的であり、これをどう組織化していくか。また、透明性や正統性の問題もある。一方で、声をあげられない人の声をどうやってすくい上げるのかという点も市民社会の持つ大きな課題のひとつである。プロビンス(各州)の声を生かすことが重要であると考えるので、モザンビーク市民社会の年次総会は地方で開催する予定である。(本年9月開催予定)
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3. 意見交換
①モザンビークでの貧困削減戦略(PARPA)プロセスにおける市民社会の参加について
TCSF:去年の会合では、貧困削減戦略(PARPA)プロセスにおいて市民社会の参加がほとんどなかったとの批判があったが、現在は如何か?
モザンビークNGO(以下モNGO):モザンビークは、去年の秋からPARPAの第二段階に入った。第一段階に対する我々の批判を受けて、政府はこの第二段階の最初から市民社会の参加を保障するようになった。現在、市民社会はこのプロセスに関与し、批判するだけではなく、責任を果たす段階に入っている。すでに会合を重ね、明日このPoverty Observatory会合がある。年末の選挙で大統領が変わったこともあり、市民社会の参加は非常に進んでいる。明日の準備のため、本日のセミナーの参加も残念ながら少ない。
TCSF:PARPA
Observatory会合への地方の市民社会の参加はどこまで進んでいるのか?
モNGO:すでに各州がそれぞれの代表となる市民社会組織を選出し、10組織が州代表として参加する。選出方法は各州に任されている。
②日本の市民社会の「弱さ」について
モNGO:日本とモザンビークの市民社会の形成と傾向に関する紹介と比較は大変興味深かった。それぞれの経験を知り合うことは、今後の交流促進の際に大変役立つと考える。日本の市民社会の「弱さ」の話があったが、農薬の問題で日本のNGOと一緒に活動をした経験からすると、「弱い」とはとても思えなかった。日本の市民社会の中でも「強い」ところがあるのか、あるいは実際の日本の市民社会は「強い」のか?
TCSF:部分的に変わりつつあるともいえるが、実際は個々人のボランタリーなコミットメントに依拠している部分が大変大きく、基盤は脆弱と言わざるを得ない状態である。TCSFも常勤スタッフは1名にすぎず、あとは会員やインターンなどのボランティア活動に頼っている。最近急速に政府との対話の傾向が加速しつつあり、政策面での活動が増えているが、変化のペースについていくだけの迅速性と専門性を確保し続けるという点ではまだまだ課題が大きい。さきほどPARPAにおける市民社会の参加の拡大の紹介があったが、喜ばしい一方、モザンビークの市民社会は足元の脆弱さの問題に直面していないのか?
モNGO:直面している。これについては、2部で話そう。
③日本の常任理事国入りについて
モNGO:日本の常任理事国入りへの挑戦が90年代初頭に始まったということだが、この話題が現在もホットである。なぜなのか?
TCSF:そもそも日本はなぜ常任理事国入りしたいのか?個人的には不思議に思うことが多い。国連への拠出金の額を考えると当然だという話もある。しかし、私自身は最初に紹介した日本の世界における「自己認識」「ポジショニング」と関係していると考えている。西欧に近づきたい。どの「国」よりも上に行きたい。この思いは、明治時代から現在まで変わらない日本外交の根底にある基層なのだと思う。例えば、「黄色人種」ではないという自己否定。これは、20世紀初頭にアフリカに移民を出そうとするのだけれど、受け入れ諸国からはその「人種(非白人)」が問題にされ、後の日本政府としても「劣等人種としての扱い」への憤慨から断念するという過程によく現れていると考える。このような日本の、世界における自己認識・日米同盟という文脈に中に、日本とアフリカ関係も形成されてきたということを皆と共有したい。だからこそ、人間間(市民社会間)の交流が重要だと考える。

休憩時間の様子 ©2005TCSF
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| ■□ <第二部> |
1. 草の根・人間の安全保障無償資金協力について (東:日本大使館三等書記官)
1.1. 草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下、草の根無償)とは? この資金は1989年に供与が開始された。年々増額し、2003年には113カ国で1405プロジェクトを実施した。

1.2. モザンビークにおける実績 東日本大使館三等書記官 ©2005TCSF 2000年にモザンビークに大使館が開設された後、草の根無償業務も同時に開始した。この5年間で37件実施し、その50%にあたる17件が教育分野である。主に小学校建設に関係している。また保健分野が5件あり、保健所の建設などの例がある。従って、当館のプライオリティは教育、保健分野であるが、その他の分野の案件も実施している。
2. モザンビークにおけるJICA (須藤:JICAモザンビーク事務所次長)
2.1. モザンビークにおけるJICAプロジェクト モザンビークのJICA事務所は2003年に開設された。現在4つのプロジェクトが進行中で、23人の青年海外協力隊員が滞在している。
モザンビークで行われているプロジェクトは、農業分野4件(灌漑;農村開発;農業支援;ネリカ)、保健衛生(病院器具支援;蚊帳配布;HIV/AIDS支援)、教育(小学校建設;理数科教員支援)、水、基盤インフラ整備(橋)、情報技術(教育支援)である。
2.2. JICAとNGO協力の可能性 プロジェクトの中でNGOと契約を行う。(コミュニティ活動分野において実施したいが、まだ実質的な契約はほとんどない。) 青年海外協力隊のNGOへの派遣のための条件は、(1)政府経由での派遣依頼、(2)協力隊員の住居を探し、家賃の半額を負担するなどである。
3. 討論 須藤JICAモザンビーク事務所次長 ©2005TCSF
3.1. 在アフリカ日本大使館担当者・受益NGOへのアンケート結果紹介
(舩田:TCSF)
(1)在アフリカ日本大使館(全24大使館)へのアンケート結果は以下の通り。
①昨年度最も多い申請があった国は南ア(1500申請中17件)、ケニア(1000件中5件)。それに対して、モザンビークでは80申請中4件が受理された。
②13大使館が件数を増やしたいと考えている。また、11大使館が件数を増やしたいがその条件を有していない。
③9大使館が最もローカルなNGOを優先的に選んでいる。しかし17の大使館が、キャパシティを有する、高いクオリティーを保持しているローカルNGOはほとんどないと回答。(2大使館のみ、ポジティブに評価。2大使館は評価できるNGOがまったくないと回答)
④大使館は、同じNGOを支援する傾向にあることが伺える。
⑤大使館の担当者と受益NGOの恒常的な会合に関して、有しているのは4大使館のみで、17大使館は会合を持っていないと答えている。
(2)受益モザンビークNGOへもアンケートを行い、以下の結果が得られた。
①日本の資金は、事務作業があまりに過重にかかる。さらにそれらが意味を成さないものも多い。
②選考から開始までにあまりに時間がかかる。プロジェクトが選出されても、もうその条件がないこともある。また、追加予算が認められないもの困る。
③アドミニストレーションやモニタリングのコストの負担がないことへの不満も大きい。
④もっと戦略的な計画にそって、目的を明確にして行われるべきである。ものの購入や建設費ばかり支援するのでは包括的な支援とはならないと思う。学校建設を支援しても、教育の質の向上についてコミットできないのであれば不十分である。
⑤特定地域を集中的に継続的に支援する方がその社会的経済的インパクトは大きいのではないか。
⑥担当者をもっとNGOやCSO(Civil
Society
Organization:市民社会組織)に近づけてほしい。また、もっと恒常的に訪問し、技術的な支援も行ってほしい。モザンビークのNGOやCSOはまだまだ経験が不足していて、機能不全な部分も多い。開発を良くするアイディアは持っているが、これを達成するための基本的な手段を事欠いている。そこで、支援は直接的および間接的なものが組み合わさっているべきである。そしてNGO・CSOの長期的組織的発展を見ていく必要がある。
⑦NGOのキャパシティ・ビルディングに寄与している他のドナーとしてはアイルランド大使館がある。プロセスがとても簡素化されていて効果的でもある。OXFAMカナダ、HIVOS、CONCERN WORLDWIDE、WK KELLOGG FOUNDATIONもキャパシティ・ビルディングに寄与している。日本以外のドナーは皆、アドミニストレーション・コストやガソリン代、サラリーも支援対象となっている。また支援対象を建設などに限っていない。
⑧もっと長期的な目でNGOを見守ってほしい。また支援は多面的でなくてはならない。さらに恒常的な情報交換や訪問が必要だと考える。持続可能性とは、技術的、経済的、構造的なものでなくてはならない。
3.2. 討論
①青年海外協力隊申請要件について
モNGO:JICAのボランティアに大変興味を持っている。彼らの果たしうる役割は大きい。ただ、住宅はどれぐらいのものを用意しなくてはならないか。政府を動かすのはかなり難しいのではないか。時間がかかりすぎるのではないか?
JICA:JICAもNGOの大変さは分かっているので、あまり心配しなくてもいい。間借りの部屋でも構わない。それぞれの専門分野の関連省庁との交渉になるが、JICAもバックアップする。
②モザンビークでの草の根無償受益者の数について
モNGO:モザンビークだけなぜ草の根無償の受益者が4件なのか?これは増やしようがないのか?
大使館:当館は2002年度に多くの案件を実施したが、各案件のフォローは予想以上に大変であり、大使館の人員的限界もあって、その後の案件発掘に支障を来してしまった。しかし、今後可能な限り増やしていきたいと考えている。また現在大使館では、5年間の草の根無償業務実施を通して、現場で多様な問題点が生じていることを踏まえ、その一つ一つについて対応を検討しているところである。例えば申請から許可までに時間がかかりすぎる、との指摘もよく承知しており、今年からは、申請期間を期間限定で2回設置し、提出された企画については、迅速に選考し回答を出せるように努力している。幸い今年からNGO経験のあるスタッフを1名増員したので、より期待に応えることができるようになると思う。
参加者間の討論の様子 ©2005TCSF
③草の根無償申請必要要件について
モNGO:配布された資料の必要要件の部分を読むと、本当に厳しいと感じる。特に、アドミニストレーション・コストに使えないのは本当に辛い。オフィスの家賃に使えないことも苦しい。申請から決定に1年以上かかっており、折角採択してもらったが、状況は1年前とまったく変わっていることもある。人が雇えないとプロジェクトもできない。モザンビークの「現実」にあわせた運用条件、あるいは弾力的運用が必要でないか。「オフィスもなく、コンピュータもなく、人もなく、プロジェクトだけがある状態」「車で生活しながらプロジェクトをまわしている状態」になりかねない。ちなみに、草の根無償申請後の話し合いの中で、コンピュータと車は、プロジェクト終了時に保健省に「返す」ように言われたこともある。もちろん、それが必要不可欠であるということならそうするのだが、そのような話は聞いたことがなく、申請をしたのは私たちNGOなのに、今ひとつ理解できない。結局このようなこと全ての背景には、「信頼の欠如」があるということではないか。NGOに対する信頼の欠如を感じ取ってしまう。
大使館:この5年間の経験を通し、NGO側からの様々な意見はよく承知している。諸条件は確かに厳しいところもあり、モザンビークの現実に合わない部分もある。ただし、人件費やソフト案件には支出できないという既存の枠組みがある中で、大使館レベルの判断では対応できない部分もある。また、申請から許可までに時間がかかる一つの要因は、大使館で審査されたものが、東京の外務省で再度検討されるというプロセスにもあり、時間の短縮に向けて大使館として出来ることは、大使館内のプロセスを迅速に進めることであると考えている。
④パートナーシップセミナー開催の趣旨について
TCSF:このようなギャップを埋めるために今回のセミナーは開催されている。まずは、アンケートで分かった大使館の認識「現地NGOの能力欠如」の指摘と「コミュニケーションの不足」の現状、そしてNGO側からの大使館への期待(恒常的なコミュニケーションの確立と技術協力)を知ることから始めたい。このような意見の相違を知り、意見交換のチャンネルを作るということが今回の趣旨である。また、外務省がこのアンケート調査に協力してくれたということは、外務省自身が改善したいという意志を持っていることを表している。今回のセミナーでの意見交換は、必ず東京に持って帰り、政策提言に活かすので、ここで十分声を聞かせてほしい。
モNGO:そのためには日本の市民社会の適切な圧力が不可欠だから、頑張ってほしい。ここでいくら話し合っても、上にもっていくチャンネルがないのであれば、本当の意味での効果的な改善は無理だと思う。だからこそ、日本の市民社会が互いに協力しあって中央に要望を届ける必要がある。
⑤青年海外協力隊と草の根無償の関係について
TCSF:今回のセミナーの報告書を持って外務省に行く予定である。一方、こちら側からできることもある。このコミュニケーションギャップを解消する一手段として、日本からの青年海外協力隊のNGOへの派遣という方法もあると考えるが、どうだろうか。
モNGO:それは賛成。ただ、日本からボランティアが来るのであれば、草の根無償が取れるタイミングで来てほしい。あるいは、申請の段階から呼んでおくのがよいのか。
JICA:JICAの青年海外協力隊と大使館の草の根無償は異なった制度で、相互にそもそも関係があるわけではなく、別々のプロセスである。しかし工夫次第で、より効果的な関係が結べる可能性はある。
TCSF:実際、あるモザンビークNGOで日本出身のボランティアが働いていたときに、草の根無償申請が採択されている。
モNGO:日本関連ファンドの仕事ばかりでなく他の仕事をしてもらってよいのか。
JICA:むしろそれが本来のあり方であり、当然プロジェクトを任してもらって構わない。協力隊は何らかの専門を持って来る。幅広い仕事をやってもらっても構わないので、そこは狭く考えないほうが良い。
モNGO:カナダの同種の制度なら、ボランティアに予算がついてくる。プロジェクトに予算がついて、そのプロジェクトを担うためにボランティアが派遣されるという手順であり、日本の協力隊とはかなり異なっている。ボランティアが来る前にボランティアが従事するプロジェクトが事前に決まっているのだ。ただし、ボランティアにまわされるお金が本来プロジェクトのものであるとしたら、ボランティアではなくプロジェクトそのものを助成してほしいと考えることもある。これが良いとはいえないが。
TCSF:日本のケースは、先ほども明らかになったように、ボランティアの派遣と草の根無償は全く別のプロセスなので、その心配はないだろう。両方を効果的に組み合わせればよいのではないか。さきほどコミュニケーションの欠如による信頼の欠如という問題を指摘したが、日本のボランティアが入ることでこれが緩和される可能性はあるかもしれない。皆さんはどう考えるか?
モNGO:勿論日本のボランティアには是非来てほしい。それが実現するプロセスだけが不安だ。
⑥草の根無償にかかるソフトコンポーネント費用について
TCSF:ソフトコンポーネントの費用がほとんど出ないことについては?
モNGO:これはアンケートにも書かれていたが本当に問題だと考える。是非この辺りのことを変えてほしい。NGOのキャパシティ・ビルディングのための支援という位置づけを明確にして、それに沿って支援してほしい。
TCSF:現地CSO支援において、他によい事例はあるか。
モNGO:オランダの例がある。オランダの予算の大半がオランダのIUCNに行き、IUCNがNGOとの調整から選定まで行って予算配分している。この効果は大きい。外国政府対NGOだとどうしても上下関係ができてしまうが、市民社会同士なら水平的な関係の中で話ができるし、NGO同士ならではの共通の理解が得られやすい。キャパシティ・ビルディングにも寄与している。大使館もこのような手間のかかる仕事を外に出したら、業務上楽だと思う。TCSFがこういうことをすればどうだろうか。
日本大使:皆さんの声は、早速本省にあげていきたい。現場の声がもっと活かされるべきだと考えている。大使館の草の根無償担当者が幸い1名増えた。彼女はモザンビークNGO勤務経験が豊富であり、今後より良い関係構築ができるものと確信している。後ほど、公邸での夕食会でゆっくりと皆さんと話し合いたいと思っている。(大使退席)
大津嶋駐モザンビーク日本大使
©2005TCSF
⑦大使館・JICA・NGOの総合委員会設置について モNGO:提案としては、大使館・JICA・NGOが入った委員会をつくって情報共有・意見交換・草の根無償案件の選考をすればよいのではないか? モNGO:それには反対。事前スクリーニングをモザンビークNGO自身がするということになると、かなりの問題が予見される。時間もかかるし、結果に何か良いものを付加できるとは考えにくい。嫌いなNGOとか人とかを外すということになると問題である。
⑧NGO-JICAジャパンデスクについて TCSF:アクセスや運用の改善において、JICAの青年海外協力隊の利用や委員会の設置という提案が出たが、実はJICAにはNGO-JICAジャパンデスクという制度がある。 JICA:これはまだ十分に知られている制度ではないが、アフリカではケニアとエチオピアにある。NGOとの連携をファシリテートするものであり、モザンビークでもJICAが設置を検討することは可能。 TCSF:ケニアでは日本のJICA職員が、エチオピアでは現地NGOがこのデスクの担当者となっている。だから、モザンビークでもデスクの設置は可能である。予算もついてくるので、現地NGOが誰か担当したらよいのではないか。ただ、制度化によって得られるものもあるし、失われるものもあるのでここは見極めが必要ではある。これについてはまた別途話し合ったらよいだろう。
⑨草の根無償運用条件について モNGO:やはり、草の根無償の運用条件についてはモザンビークの現実に合ったものにしてほしいと思う。この点での協力を呼びかけたい。また、一件あたりの額が低すぎると思う。勿論、キャパシティがないところに多大なファンドを与えることは危険だが、キャパシティにあわせて上げられるようにしてほしい。
⑩パートナーシップセミナーの有効性について モNGO:今日はTCSFのイニシアティブで、日本大使館・JICA・モザンビークNGOが参集し意見交換をすることが出来て大変有意義であった。モザンビークNGOからは、様々な改善提案が出た。日本の側からの情報提供や応答もあった。これを機に、関係をより密にしていけたらと考えている。
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| 添付資料 |
| ■□ 添付資料 1 |
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添付資料1
<草の根・人間の安全保障無償資金協力受益NGOによる
TCSFアンケート回答>
■現在の草の根無償に関する情報提供のあり方について提案をお持ちですか?
8月のセミナーはNGO間の連携を強化するため、そして日本の国際協力に関する情報や新しい動きを知るために素晴らしい試みだと考えている。
情報提供の手法には、モザンビーク内の日本の協力が感じられない州で活動する機関にも届ける手法も含めるべき。他方、インターネット・サイトを利用した情報普及も、このような技術を利用している団体には重要である。
■あなたの国でCSOやNGOを支援するためどのような支援が最も重要だと考えますか?
スタッフの給料やアドミニストレーション・コストの支援 ローカルなコンサルタントや専門家の就職のための技術的な支援
アフリカ民衆の人間的権利とニーズのための支援 公共物を建設するための十分な資金
CSOやNGO活動に必要な車両購入のための支援
職を創造するための支援(例えば、職業訓練)
■もし日本の支援(特に、市民社会やNGOに対する支援)に対して、何かコメントや提案があればお願いします。
日本人や日本政府の支援は我々の国の発展のために重要と考えている。しかしながら、これには官僚的な傾向が多分にあり、時には意味を成さないようなことがある。このようなことが、NGOのこの資金へのアクセスを難しくしている。多くのNGOはこの資金に申請しないという選択すらしている。プロジェクト申請が通るまでには多くの時間がかかっている。申請が通っても、(翻訳者補足:時間がかかったため)増えた予算に対して、大使館は追加予算を認めず、その負担はNGOのものとなっている。
日本の協力は、より明確な戦略計画を持つ必要がある。学校建設の分野で働いているが、日本の協力は州教育局とより連携しなければならないと感じている。例えば、行動の優先順位を共に確立し、実現のために一緒にパートナー(NGOや企業)を共に探すなどである。日本の支援の限界は、この資金の使途が建設工事や物品購入に限られていることにある。建築物の持続可能性は考慮にいれられておらず、(翻訳者補足:支援によって解決しようとしている)問題を部分的にしか解消することができない事態となっている。もし日本の協力に学校運営のための研修が含まれたなら、日本の支援はより完成されたものになるだろう。もし日本が、ある特定の地域で社会経済的に多様なセクターにまたがる協力を恒常的に続けることできれば、より意味のあるインパクトを与えることができるだろう。
日本の支援は、その担当者や技術者をCSOやNGOのもっとそばに置く必要がある。例えば、CSOやNGOの定期的な訪問やそれらの団体が求める技術的な支援を与えるなどである。CSOやNGOはまだ出来たばかりで、きちんと機能するためには十分な基盤を有していない。開発を促進するためのアイディアは持っているが、機能のための基本的な手段なしにはそれを実現することは不可能である。だからこそ、支援のためには、プロジェクトの直接的な支援とCSOとNGOの組織的発展の支援が共に不可欠となる。そしてこれは、長期的視点にたったものでなければならない。
■ローカルのCSOやNGOにとって最も重要な活動は何でしょうか?(選択式・複数回答)
プライマリー・ヘルス 水資源開発 初等教育 食料安全保障 HIV/AIDS
ジェンダー
■外国のドナーは、あなたの国のCSOやNGOを支援するためにどの開発分野で支援を行うべきしょうか?
CSOやNGOの運営と人的資源、リーダーシップを含む組織開発
モザンビークの政治的、社会経済的文脈を考慮に入れた長期的視点にたった開発のためのプログラム開発
長期的で直接的な、小額ではない財政的支援。モザンビークのもっとも貧しい人々に影響を与える大きな問題に関わるべき。
農村地帯での水の供給、保健衛生、職の創出、職業訓練、農業生産
水資源運営
■あなたが「グッド・プラクティス」と考えるドナーや国際機関の資金はありますか?もしあるなら、例をあげ、なぜ良いと考えるかお教えください。
アイルランド大使館は、とてもシンプルで効果的なやり方で資金援助を行っている。
ドナーのグッド・プラクティスとは、NGOがNGO自身のキャパシティに適した手法と、自身のモダリティにあわせて自身のプロジェクトを作り出すことを推奨することにある。我々が知っているすべてのドナーは、日本を除き、一つのプロジェクトの実現のために不可欠なアドミニストレーション・コストやその他のコスト(ガソリン代や事務所の労働者等)を支援している。
他のドナーに顕著なプラクティスとしてあげられるのは、ハコモノにその支援プロジェクトを限らず、ソフト面の支出によりお金を出す傾向である。これこそ、よりインパクトがある。
以下のドナーや機関がグッド・プラクティスを行っているといえる。 1. WK Kellogg Foundation 2. Oxfam
Canada 3. HIVOS 4. Concern
Worldwide
■その他何か意見や提案があればお願いします。
支援はもっと 包括的でなくてはならず、モザンビークの各リージョン間にバランスを生み出さなくてはならない。
CSOやNGO支援においては長期的な視点に立つ必要がある。
支援は多面的でなくてはならず、拘束が厳しくてはいけない。なぜなら、CSOとNGOの発展は内部的な事情や文脈に大きく影響されているからである。
定期的な情報交換や訪問、会合などを含む技術支援に力が注がれなければならない。CSOとNGOの機能コストを申請予算に含めてはいけない、という現状の姿勢を再考する必要がある。日本政府は、より持続可能性を目指した戦略をデザインする必要がある。その支援は、技術的、財政的、組織的なものでなくてはならない。
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| ■□ 添付資料 2 |
アフリカNGO アンケート集計結果
回答NGO数:26件 (2005年7月30日現在)
1.
回答NGO団体一覧/参加意思 別紙参照
2.個別質問結果
(1)TCSFの活動について(回答率23/26)
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英語のMLへの参加意思 |
メールマガジン受け取り |
HPサイトのリンク |
| すぐに参加 |
22 |
21 |
13 |
| 将来参加 |
0 |
1 |
4 |
| 技術的に困難 |
1 |
0 |
5 |
| 不参加 |
0 |
0 |
0 |
(2)パートナーシップセミナーについて(回答率26/26)
(2.1.)日本政府の草の根・人間の安全保障無償資金協力について知っていましたか?
受け取った
2 受け取ったし応募した(2) 応募した 3 知っているが応募してない 2 あまり知らない 4 知らない 15
(2.2.)知っていると答えた人へ質問 ①どこでどのように情報を得ましたか? ・ただ聞いた ・
Maputoの日本大使館 ・ CAFS ②情報の提供について ・ とても良い ・
大幅に改善される必要がある ③応募手続きについて ・ とても良い ・
現状を反映するためにもう少し柔軟でなければならない ④選別の手続きについて ・ 時間がかかりすぎる ・
応募者に選考の過程を知らせる努力をするべき ⑤大使館によるモニタリングと評価について ・回答なし
(2.3.)草の根無償について意見
聞いたことがないのでわからない。
日本政府資金の弱点の一つであるが、透明性がなく、政府に関連のあるほんの少しの機関しか資金入手のチャンスについて知らない。
選別過程においてもっとスピードをあげるべき。最終決定までに多くの状況はすでに変わっており、計画したプロジェクトを再スタートさせるのは難しい。
この資金の存在が私たちのレベルでも認知されるようになり、多くの団体がこの資金を利用できるとよい。 一度も参加したことがないのでわからない。
この資金は地域の草の根共同体の生活を変えるのに大きく寄与している。この資金を利用して女性のためのセンターを設立できた。しかし、もしこの資金提供の焦点が、短期間ではなく、長期間に渡るパートナーシップの構築にあったならばより大きなインパクトを与えることができただろう。
(4)TICADフォローアップについて(回答率23
/26 )
(4.1.)TICADについて知っていたか? 参加した 3 関係した
1 聞いたことがある 5 少しだけ 3 知らない
11
(4.2.)市民社会団体(アフリカ・日本)が”オブザーバー”としてだけ出席し、”市民社会セッション”が公式プログラムに含まれなかったことに関して、どう思いますか?
日本のODAを改善する助けにならない。経験を持っているのはアフリカ・日本両方のCSOであり、私たちがこの過程においてオーナーシップを持つべきだ。また、全ての過程において重要なパートナーとして参加するべきで、そうしなければ現地の人々、環境、社会にネガティブな影響を与えるだろう。
民主的でないし、フェアでないと思う。持続的な開発は国家と国家でないアクターとの間の平等なパートナーシップによって達成されるものだと信じている。
次回はCSOも公式プログラムに入り、TICADをともに構成していくべきだと思う。
世界中のこうした問題に市民社会が関与していく過程は徐々に発達してきている。市民社会の役割についてどれくらいの仕事がまだ成されねばならないか知るために、国連が2004年6月に出したCardosoレポートに触れる必要がある。市民社会が十分にイニシアティブをとる段階までには時間がかかると思われるが、傾向は徐々によい方向に向かっていると私は思う。だから、オブザーバーとしての地位を与えられた事実は、変化に対し一歩近づいたことを意味する。
適切ではない。変えられるべきだ。 市民社会が発展とグッドガバナンスにもたらす影響を妨げている。 情報が少なく、意見が述べられない。
知らない。 市民社会は主な開発アクターであり十分に参画すべきである。 重大な見過ごしである。
プロセスが自主的なものでも参加型のものでもなくなる。
(4.3.)TICADプロセスに対し、日本の市民社会は何をすべきでしょうか?
TICADの開催期間以外でも、もっと組織化されたグループを構成するべきだ。アフリカのNGOが、どのように問題に対しどう取り組んでいるか調査した上で、日本から具体的な経験を持ち込みながら、関わらなければいけない。興味深い取り組みとしては、モザンビークのG-20(CCMが技術ワーキンググループのメンバーとして参加した)がある。これはアフリカ全体でみても特殊な例だ。実際、私たちは今オブザーバーとしてだけではなく、重要なパートナーとして見られている。TICADの過程に私たちが影響を与えられることを願う。
TICAD会議のプランにCSOも参加する。 日本とアフリカ両方の意思決定に(政府とCSOの)平等な参加を働きかけ、主張すること。
アフリカのパートナーとの協力の中で、会議の結果を監視するため平行して活動を今から始める。そうすることで次回のTICADで私たちがCSOのポジションを代表し、公式プログラムで発表できるようになるだろう。
政策対話に参加し働きかけるべきだ。
世界の他の地域のCSOとの共通領域を日本のCSOは広げるべきだ。しかし私はまた、日本の団体はまず、何が戦略目的なのか自分たち自身を定義する必要があると思う。また、日本のCSOは国家以外のアクターとしてどんな分野で解決に貢献できるのか、世界中の平和と安全に関して自分たちの役割はなんなのかを理解し、その情報を(日本)政府に働きかけて、政策立案に関わっていくべきだ。
市民社会はTICADに関して多くのことができるのであるから、重要な協力を得られると考えるべきだと思う。市民社会は全過程において前面にでるべきで、積極的に参加するべきだ。
国/地域/大陸間単位で、若者/女性といった個人単位から大きな単位のCSOまで、全てのレベルのアフリカNGOとの早期に話し合い、ともに参画することが必要である
意見を述べるためにはもう少し情報がほしい。 情報が少なく、意見が述べられない。 発展の過程を見続ける。 十分な参加。
プロセスに参加するべきだ。 分からない。
TICADプロセスを支持し、政策に影響するような働きかけをすべきだ。働きかけは特に(国家的、宗教的、国際的といったような)影響を与える事柄に対して、市民社会の基本的な方針として示されるべきだ。
アフリカのNGOが草の根活動をするために日本の財源にアクセスできるようにすべき。
NGOが以下のものに日本が援助を割り当てるよう影響すべき。 → 水源確保のための本当の発展・地方にアクセスするための道路建設。 → 他国から忘れられている子供の栄養問題、これは取り組みによって死亡率を13-15%ほど下げることができる。
→ たくさんの官僚ではなく、NGOをこれらの活動により早く参加させるべき。 → 日本のNGOはアフリカのNGOと活動を共にし、アフリカにおける女性の地位向上のためのプログラムを進めていくべき。 → 日本のNGOは援助資金がより効果的に活用されるように、アフリカのリーダー達に責任のある行動を要求すべき。
(6)その他意見
市民社会団体と日本(大使館)の間でもっと対話が必要 JICAはプロジェクトと支援活動を支援し、CSOにより開かれたものにする
アフリカのCSOは、何が行われているのかという情報提供(アフリカのそれぞれ異なる発展プログラムについての情報の用意)を必要としている。それがあって初めて監査ができる。どこにお金が使われたかや貧困削減への影響を監査する方法を知らないまま、タンザニアやアフリカに日本がどれだけ寄付したかを知ることはできないので、PERとMTEFのトレーニングという点からキャパシティ・ビルディングは必要になる。
このイニシアティブを歓迎したい。TCSFのスタッフがこの重要な役割においてうまくいくことを願っているし、CSOの参加があってこそ、私たちはアフリカ大陸の発展を確実にすることができる。
日本の市民社会(TICAD市民社会フォーラム)がしようとしていることはとても素晴らしく、我々の側のサポートが必要な事はなんでも喜んで協力する。
タイムリーな対話と全段階の計画会議に参加できると嬉しい。
CSOの多くは、日本が援助を政府間だけで実施することを快く思っていない。このイニシアティブが実施されれば、日本はアフリカにおける他のドナー国と同レベルに位置づけられることになるだろう。
私たちの団体は、多くの人に平等に公共サービスを提供しており、マラウィで幅広い支持層を持っている。
あなた方の活動に非常に参加したいが、フランス語圏という言語の問題があり、参加が制限される。この点を検討していただきたい。
あなた方の活動に大変興味を持っている。特に4つの活動(市民白書、TICADフォローアップ、援助アラート、援助セミナー)におけるTCSFの活動について、さらに情報が欲しい。
TICADに関するウェブ上の情報は英語で書かれるべき。 草の根無償にどのようにアクセスできるのか明確に説明があるべき。
TICADの成り立ちと会議の期間が説明されるべき。 個々のレベルでも、団体のレベルでも参加を希望する。
双方にとって利益のある政策が支持を集める;たとえば、日本市場でアフリカ製品のマーケティングを促進するような外交政策などは思慮分別があるといえる。
我々のミッションは、公共事業の管理におけるベスト・プラクティスと民間ビジネスにおける正直さを持続させ、開発途上国における持続可能な開発を実施することにある。我々は、この目的を深めるためにTCSFとパートナーとなるための準備ができており、日本のNGOやドナーたちと連携したい。
私は、日本のTICADにおけるイニシアティブはとても役立つものであり、アフリカの貧困と低開発問題に対する活動において私たちが協力しパートナーシップを築くための力を与えてくれると考える。近い将来にまた改めて詳細を書き送りたい。
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| ■□ 添付資料 3 |
草の根無償アンケート調査報告
「開発資金へのアクセスを考える:アフリカのNGOと草の根無償」
1.
はじめに
1989年に小規模無償資金協力として供与が始まった草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下、草の根無償)は、2005年度の予算規模が150億円に達し、年間の実施件数は1,000件をゆうに超える(2003年度の実施件数は1,425件であった。なお草の根無償の実績は外務省ホームページに公表されている)。草の根無償は、途上国で活動するNGOやCSO(市民組織)を支援する開発資金として、世界でも有数の規模をもつものであり、日本国民による貧困削減への貢献として、高く評価されるようなプログラムに育ててゆく必要があるだろう。
草の根無償は、基礎教育、保健、給水事業から、ジェンダーや民主化支援に至る、幅広いプロジェクト(案件)に資金を供与することができ、複数のセクターにまたがる案件を支援することも可能である。またプロジェクト1件あたりの支援額は、上限が原則として1,000万円であるが、下限は特に設定されておらず、プロジェクトの規模に応じた額を設定できる。加えて、日本政府の他の開発援助プログラムに比べると、申請から承認までに必要な手続きと、報告の手続きが格段に簡略であり、限られた人材で開発事業をおこなうNGOに適したプログラムである。
ただし、草の根無償の支援を受けてプロジェクトを実施するNGOの側から見れば、厳しい制約もある。NGOを対象とした国際的な開発資金の多くが、人件費やプロジェクト管理費も支援対象としているのに対して、草の根無償は(例外はあるものの)おおむね、物品の調達や施設の建設のための費用しか支援できない仕組みとなっている。また物品であっても、自動車やコンピュータのように汎用性の高いものは、用途を明確にできないという理由で、支援対象からはずされることが多いようだ。
加えてNGOにとっては、将来の支援を予測することが難しいという問題もある。一般にNGOは、地域住民との協議を繰り返しながら、複数年にわたる事業プログラムを策定する。しかし草の根無償は基本的に、単年度の案件として承認され、翌年度以降の事業については、支援の保証ができない。このため長期的なプログラムにおいては、予算の確保ができないために事業がしばしば中断されることがあり、NGOは住民との約束を守りながら、持続的な事業展開をおこなうことが困難になる。もちろん草の根無償だけに頼らず、複数の開発資金へのアクセスを確保していれば、事業が中断されるリスクは小さくなるし、じっさいに経験の豊かな開発NGOは、そのようにしている。しかしひとつの事業を達成するために複数の開発資金をもちいると、それぞれの支援者に申請や報告をおこなう手間が大きくなって、肝心の事業に人材を集中できないという難点もある。
2.
草の根無償とアフリカNGOのキャパシティ
表) おもな在アフリカ大使館における草の根無償の申請数と実施件数(2004年度) 申請概数 実施件数 タンザニア 300
11 ジンバブエ 20 2 ギニア 200 6 マダガスカル 220 2 コンゴ(民) 1,000 1 エチオピア 300
18 ガボン 30 1 コートジボワール 1,000 14 ケニア 1,000 5 南アフリカ 1,500 17 ナイジェリア
200 2 ザンビア 462 9 カメルーン 500 12 アンゴラ 15 2 モザンビーク 80 4 セネガル 100
4 ウガンダ 150 4 ガーナ 1,000
2
2005年7月、TICAD市民社会フォーラムは外務省の協力を得て、アフリカ各国の日本国大使館(以下、在アフリカ大使館)を対象に、草の根無償の実施体制に関するアンケート(文末の資料を参照)を実施し、全24大使館から回答を得た。以下では、このアンケート調査の結果について報告する。アフリカのNGOが、日本の開発資金にアクセスしやすい環境をつくるための、議論のたたき台のひとつになれば幸いである。
なおこの報告は、TICAD市民社会フォーラムの主催により、2005年8月3日にモザンビークで開催された第一回CSOセミナーにおいて発表された、“Better
access to development fund from Japan: How can it be achieved? : Inquiry about
the implementation of Grant Assistance for Grassroots Human Security
Projects”に対応する内容となっている(なおこの発表に使用されたパワーポイントは、TICAD市民社会フォーラムのホームページからダウンロードできる)。
2-1
在アフリカ大使館の実施体制
右の表は、上記のアンケートから作成したもので、アフリカ各国のおもな大使館が2004年度中に、NGO等から受け付けた草の根無償の申請書の概数と、実施した案件の数を示している。それぞれの国や大使館の事情があるので、安直な比較は慎むべきだが、草の根無償案件の承認が100倍を超える難関となっている国も少なくない。また国によって、申請の数に大きなばらつきがある。
またこの表を見る限り、アフリカ諸国での草の根無償の実施案件数は、世界113カ国で実施された案件の1割に満たないようだ。今後、草の根無償の案件数を増やしたいかという問い(問1.4)に対しては、在アフリカ大使館のうち、「増やしたい」と答えたのは13、「増やしたいが増やせない」と回答したのは11であった。「増やしたくない」という回答はなかった。「増やしたいが増やせない」と答えた理由については、大使館の人手不足や、NGOの運営・管理能力の不足をあげる回答の他、案件の数より質を重視するという回答もあった。在アフリカ大使館が人材を確保し、能力の高い現地NGOのアクセスが確保されれば、アフリカにおける草の根無償の実施件数は、増加する余地があるし、また大使館にもその意志があると考えて良いだろう。
2-2
有能なNGOはどこに?
草の根無償の支援を受けて事業を実施することができる団体(以下、実施団体)は、大きくわけて現地NGO(途上国に本部をおくNGO)、国際NGO(欧米などに本部をおくNGO)、地方自治体や公共団体、その他である。これらのうち、2004年度に実施した案件数がもっとも多かったカテゴリーについて尋ねたところ(問2.2)、14の大使館で、現地NGOがもっとも多くの案件を実施していると答えた。
在アフリカ大使館は、草の根無償の実施団体として現地NGOを重視しているが、必ずしも高く評価しているわけではない(問2.3)。24大使館のうち「実施能力の高い現地NGOが多く、申請される案件の質も高い」と回答したのは、わずか2つに過ぎず、その他の大使館は実施能力の高い現地NGOが少ない、あるいはほとんど存在しない、と回答している。
確かに国際社会からNGOへの開発資金が急激に膨張した1990年代には、「ブリーフケースNGO」と呼ばれるような、開発資金を目あてに机上のプロジェクトを売り込んでまわる人たちが横行したし、現在でも、すべての現地NGOが草の根無償を実施する能力がある(つまり質の高い申請書を書いたうえで、数百万円の開発資金を1年以内に有効に支出し、かつ正確な報告をおこなうことができる)わけではないだろう。
しかし「実施能力の高いNGO」が、在アフリカ大使館にあまり知られていない理由は、ほかにも考えられる。アンケートによれば、現地NGOを含む実施団体と定期的な会合をおこなっている大使館は4つに過ぎず、またNGOへの支援をおこなっている国際事務所や欧米の大使館などと定期的な会合をもっている在アフリカ大使館も、同じく4つにとどまっている(問1.1,
問1.2)。多くの大使館では、有能なNGOや質の高い案件を発掘するため、もっと積極的に情報交換をおこなう必要がありそうだ。
2-3
何を支援すべきか 在アフリカ大使館から現地NGOに、どのような要望をしたいかという設問(問2.7)についての回答をみると、報告書の提出期限の遵守や、重要事項の連絡の徹底などがあげられており、現地NGOを相手にして、円滑な事務処理を実現することに、苦慮していることが伺われる。しかし地域住民との協力を謳う草の根無償の趣旨からすれば、国際的な(あるいは日本的な)ビジネス慣行を熟知するよう求めることが、常に正しいとも思えない。NGOからの連絡を待つだけではなく、大使館の側から、積極的に連絡をとったり現地調査に出かけられるだけの要員を確保したりするのも一案ではないだろうか。むろんそのためには、草の根無償の実施に携わる人員を、今よりも増やすことが前提となる。 他方で、現地NGOから在アフリカ大使館に寄せられている要望についても質問した(問2.8)。大使館からの回答によれば、管理費や予備費、ソフト品目(会議や訓練の費用など)への支援を要望する現地NGOが多いようである。
既に述べたように、草の根無償は基本的には、物品の調達や施設の建設費を支援するプログラムである。これはもともと日本の政府開発援助の枠内で、途上国の政府と対象とした一般無償資金協力から、草の根無償が派生したように捉えられているためと思われる。したがって管理費や予備費は、実施団体であるNGOが負担するというのが、草の根無償の基本的な考えかたであろうが、政府組織や国際NGOと違って、財務上の裏づけや人材に乏しいアフリカのNGOにとっては、管理費や人件費の支援なしに数百万円の開発資金を使いこなすのは容易ではない。
「実施能力の高いNGO」が少ないという在アフリカ大使館の印象は、裏を返せば、草の根無償による支援の範囲が狭いために、多くの現地NGOのニーズに応えられないという問題でもある。質の高いプロジェクトを実施するためには、現地NGOのキャパシティについて、現実的な評価をおこないつつ、妥当な支援範囲について再考する必要があるのではないだろうか。
3.
プロジェクトを成功に導くために
草の根無償の案件を成功に導くために、大切なことは何だろうか(問3.3)。在アフリカ大使館の回答は、その案件を実施するNGOに優秀な人材がいること、フィージビリティを念頭においた計画を策定すること、大使館とNGOとの間で綿密な協議を行うこと、大使館が定期的なモニタリングを実施することなどであった。
また案件を選定する際に重視しているのは(問3.2)、その案件を申請したNGOが過去に実績を持っているか、地域住民と良い関係にあるか、あるいはその案件が、費用対効果に優れたものであるか、また地域住民の理解と協力が得られているかなどであった。またこのほかに「(NGOの)やる気」という回答もあった。もちろん無気力なNGOに支援するべきではないが、草の根無償は政府予算からの支出である以上、案件の選定にはNGOの実績や人材の充実度など、できるだけ客観的な基準を適用するほうが、日本国民と現地NGOとの双方に対して、説明責任を果たしやすいのではないだろうか。
また「案件の所在地が、大使館によるモニタリングに適しているかどうか」という回答もあった。これも、モニタリングが不可能な案件を実施すべきでないのは当然だが、地域住民にとっては、ニーズがあるにもかかわらず、大使館から遠いという理由で支援を断わられるのは理不尽と受け取られるかも知れない。また政府による開発の手が届きにくいような遠隔地でこそ、草の根無償の支援が必要とされているのであり、かつ高く評価されるのではないだろうか。 今回のアンケートは、在アフリカ大使館による草の根無償の案件選定が、全体として(あるいは個別に)妥当なものであるかどうかを判断するためのものではないし、また判断するだけの材料を提供するものではない。とはいえ在アフリカ大使館が、それぞれの管轄国で案件を成功に導くための、さまざまな知見を有しているのは確かである。またその経験を案件選定に生かす努力をおこなっている大使館も多く、例えば草の根無償の募集要項を独自に作成している大使館は14にのぼり、なかには現地語で募集要項を準備している大使館もある(問3.4,
問3.5)。
案件の選定が、最近の開発理論に照らしあわせてどれほど妥当なものであり、また日本と途上国の双方の国民に対して、どこまで説明責任が果たされているか判断するためには、より詳細な調査と検討が必要であろう。それぞれの大使館に蓄積された知見を評価し、共有するような試みも必要だろう。他方で、大使館にとって公正な基準と思われるものが、地域住民にとってもそうなのか、あるいは大使館が成功案件と考えているものが、アフリカのNGOにとってもそうなのか、住民やNGOとともに話し合ってゆく必要がある。
4.
今後のパートナーシップのために
4-1
幅広い支援と、継続的な支援 草の根無償の実務のうえでは、幅広い支援を行うため、同じNGOに二度目の供与は行わないという考え方もあるようだが、在アフリカ大使館のうち、この考え方をとるのは2つの大使館に過ぎず、一定の回数(たとえば3回)までなら供与すると答えた大使館が4つ、供与回数に制限を設けず申請内容で判断すると答えた大使館は14にのぼる(問2.4)。 支援を受けるNGOにとっては、継続的な支援を受けられるかも知れないという希望があった方が、質の高いプロジェクトを実施する動機になる。逆に、最初から二度目の供与がないとわかっていれば、不届きなNGOは、その場かぎりの粗雑なプロジェクトを申請して、手早く開発資金を手に入れようとするかもしれない。また大使館にとっても、実績あるNGOに継続的な支援を行うことで、効率的、効果的な支援を行うことができるはずである。この意味で、多くの在アフリカ大使館は正しい判断をしていると思われる。
4-2
NGOとのパートナーシップを築く
とはいえ、同じNGOに繰り返し草の根無償の支援を行う背景には、当該国で「実施能力の高い」NGOがあまり見あたらないことや、質の高い案件を発掘するだけの人材の余裕がない大使館が多いことも、関係しているかも知れない。もし過去の実績だけを頼りに、繰り返し同じNGOに支援を行うようになれば、大使館とNGOとの間に望ましいパートナーシップが築かれているとは言えない。
望ましいパートナーシップとはどのようなものだろうか。ここでは議論の参考としてもらう目的で、幾つかのポイントを示しておきたい。ひとつには、草の根無償の担当者が個別のNGOと良く話しあい、そのNGOが実現しようとしている開発目標と、それを達成するために必要な資金や人材、そのうち草の根無償で可能な支援について、両者が理解しておく必要があるのではないだろうか。別の言い方をすれば、草の根無償案件の目標だけではなく、そのNGOが今後、数年間にわたって実現しようとしている目標について、担当者が承知していることである。草の根無償の担当者は数年単位で交代するから、長期的なパートナーシップを築くためには、草の根無償の案件を継続的に実施しているNGOの開発目標と、必要な支援について、各大使館レベルで認識している必要があるだろう。
次に、草の根無償で実績のあるNGOに集まってもらい、当該国における草の根無償の実施体制を改善するための方策について、提言してもらうことが考えられる。提言のなかには、案件採用の規準を明確にしてほしいとか、もっと頻繁にプロジェクト・サイトを訪れてほしいとか、大使館レベルで対応可能なものもあれば、予備費や管理費をもっと認めて欲しいというように、日本政府の財務当局の協力なしには、実現しないようなものもあるだろう。大使館として迅速に対応できることと、そうでないこととを明確にした上で、実績あるNGOから、なぜ予備費や管理費が認められなければ、効果的な開発事業を行えないのか、具体的な事例とともに提言してもらうことは、日本政府が草の根無償を改善し、国際的に評価されるプログラムに育ててゆくうえで、非常に重要なインプットになり得るのではないだろうか。
もうひとつ付け加えるならば、当該国で国際機関や欧米の大使館が行っている、草の根無償と類似のプログラムの特徴と実施状況についてよく把握し、草の根無償の相対的な位置づけについて理解することが望ましい。つまり草の根無償は、支援額の大きさでは評価されているかもしれないが、柔軟さに欠けるという批判を受けている可能性がある。一方で他のプログラムは、柔軟な対応が可能だが一案件あたりの支援額が少なく、数回のワークショップを開催してお茶を濁すのがせいぜいだという批判があるかもしれない。実績のあるNGOはたいてい、これらのプログラムの特徴をよく知っていて、賢く使いわけることによって、成果をあげている。逆に言えば、草の根無償の案件をより効果的なものにするためには、他の類似のプログラムと比較したときに、草の根無償がどこで頼りになるのか、あるいはどこが弱いのかを知っておく必要がある。そのためには、当該国で実績のあるNGOや、草の根無償と類似のプログラムを担当する開発専門家と、恒常的なコミュニケーションをとらねばならないことは、言うまでもない。
エチオピアのように、NGO向けの小規模な開発資金を担当する各国大使館や開発機関の職員による定例会合が開催されている国もある。他のアフリカ諸国でも同様の会合が開催されているものと思われるが、もし開催されていない場合には、NGO向けの開発資金として有数の規模をもつ草の根無償の担当者が、そのような会合の開催を呼びかける立場にあるのではないだろうか。
5.
まとめ
実施能力の高いNGOや、質の高いプロジェクトが、草の根無償にアクセスできるということは、とりもなおさず、開発資金としての草の根無償が、途上国において実績を築き、国際社会においてその評価を高めることである。そこで、アフリカのNGOによる草の根無償へのアクセスについて、ここまで検討してきたことを、簡単にまとめておきたい。
第一に、多くの在アフリカ大使館は草の根無償の実施にあたって、アフリカの(現地の)NGOに重点的な支援をおこなっている。これは草の根無償の趣旨からして好ましいが、問題は多くの大使館にとって、質の高い案件が少ないことである。これは逆に言えば、当該国で「実施能力の高い」NGOが、草の根無償へのアクセスを確保できていない可能性がある。
また、草の根無償の案件を成功に導くために、NGOの実施能力が問われるのは当然のことであるが、NGOのニーズに応えられるように草の根無償の実施を改善し、案件選定の根拠について説明責任を果たすことも、同様に重要であると思われる。もちろん開発資金の目的は、(NGOではなく)住民のニーズに応えることであるが、NGOの実施能力について現実的な評価をおこない、その実施能力を最大限に引きだすような支援をおこなうことで、ひいては住民から高い評価を受けることになるだろう。
最後に、在アフリカ大使館がNGOと開発目標を共有し、また草の根無償の相対的な強みを理解して、適切な支援をおこなうために、NGOとの間に持続的なパートナーシップを築いて、常に忌憚のない話し合いができる関係を築くことはできないものだろうか。これは単に、大使館とNGOとの関係を良くするということではない。このようなパートナーシップを通して草の根無償のアクセシビリティを高めることは、支援を受ける途上国の住民にとっても、開発資金を有効に使ってもらいたい日本の市民にとっても、切実な問題なのである。 (執筆担当:西真如,
佐藤瞳)
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パートナーシップセミナーWGヘッド : 黒河内 康
パートナーシップセミナーWGサブ : 鍋屋 史朗
資料作成者 : 舩田クラーセン さやか
資料作成協力 : 西 真如、佐藤 瞳、青木 千都子
翻訳協力 : 綿貫 まいか
編集者 :下越 志延
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