■□ パートナーシップセミナー会合 

「JICA草の根技術協力」勉強会 + WG会合
日 時:2005年3月13日

講 師:JICA東京国際センター連携促進チーム 松本淳氏



【松本氏のご説明】

● 草の根技術協力連携促進チームについて
・ JICAとこれまであまりつながりのなかった人たちと連携をとる(国民、市民など)という意味合いがある。
・ 独立行政法人になり、緒方さんが理事長になった。緒方さんは、目も身体も途上国に向いているほうだが、連携促進チームは主に国内に眼を向けている。
・ 日本のODA予算が減るようになり、今までの仕事で何が足りなかったのだろうという点などをレビュー。地域の皆様とJICAが組んでやるべきではないかという考え方で実践している。
・ 四・五年前から「草の根技術協力」という名前にした。皆さんのご提案に相談に乗らせていただき、実施に向けていく。問題解決をJICAとNGOとで一緒にやっていくというやり方。以前は五年位前まではNGOとJICAの対立の構図があったが、。最近は、パートナーシップという形になりっていっている。むしろ「違い」の中から新しいものが生まれていくのではないかという期待がある。
・ JICA東京では、現在、年間で約10件程度新規採択実施されているが、対象はアジア諸国での案件が多い。アフリカでは、ケニア(CanDo)と南アフリカ(JVC)>配布資料参照

● 草の根技術協力と、JICAのもともとやってきた技術協力の相違について
・ 草の根=NGO、技術協力=GO(政府ベース)である。JICA在外事務所員は相手国政府との業務が多いが、お付き合いをしていく。草の根は、文字通りグラスルーツで、人々の中に入っていき何が課題か参加型アプローチを経て洗い出し、事業の可能性を模索していき活動の形態を決める。
・ 向こうもコミュニティで、こちらも草の根。端的には、NGO、自治体、地方行政などに関わるひとたちなどがそれに当たる。
・ 現実の活動に落としていくのは、どうしたらよいか、ということを模索中の状態。
「草の根度」という内部キーワード
・ 過去三年で約40件の草の根技術協力を実施。毎年間10件程度少しが採用されている。NGOからの提案をにいただいたものの審査をする必要があり、優先度の指標が必要→「草の根度」という考え方
・ 外部の有識者の方にも提案書を見せて意見をもらう
・ 「草の根度」による審査のポイント:
(1) 現地の活動でどれほど非行政の人たちを巻き込んだ活動か、ということから見る。
(2) 現地での「自発性(voluntarism)」があるか。利益、金銭的、物質的なものではないかどうか。
(3) そのコミュニティで関わる人々が多ければ多いほど、草の根度が高いということ審査基準

●その他の審査上の留意点
・草の根技術協力の申請の多くはNGOである。多くのNGOの思想的なものもあり、それは「思い」であって「思い込み」ではないという考え方かどうか。個人的なものではなく、多くの人に議論があり共有されている考え方を元に活動するかどうか。議論のうえの提案であるかどうか。
・草の根「技術協力」なので、思想信条とは別の特定のツールや技術など、どのようなものを使い、移転されるものは何か、ということ。→JICAは技術協力をしていくものなので、技術やノウハウの移転をするという提案をしていただくことになる。

●草の根技術協力のパターン
・ 5つの例(配布資料)>ヌー郡の教育(ケニア)、教育(ネパール)、女子教育(カンボジア)、貧困削減(職業訓練・栄養教育・マイクロファイナンスなど)(ミャンマー)、保健教育(東チモール)
・ 【多い例】教育を軸とした上記のパターンが多い。世間の関心、草の根度、ともに高くなりがちである。
・ 【足りない例】
" 環境などの案件→草の根度やノウハウのアピールがまだ十分でない。
" アフリカ地域は少なく限られた提案数である。アジアが主体的。
" HIV/AIDS
" 家族計画をふくめた人口などの案件→欧米に比べては少ない。JICAでは人口計画プロジェクトもあった。(例:USAIDは以前からNGOに資金を落としモニタリングをNGOに任せるやり方をとっていた。日本ではいままで、保健などなら厚生労働省に通すなど、ガバメントな方向性で実施されていた。)
・ 最近はアジアもテーマが飽和状態か?アフリカに向けて新しい案件が開拓されていく期待。
・ HIV/AIDSの草の根活動はどうすればよいかという課題。啓蒙活動?(例:看板を国道に立てる?コンドームを配ろう、などで十分とは思えない)

 
【 質疑応答 】

Q:海外のNGOが(草の根技術協力に)申請できる可能性は。

A:日本のNGOがJICA国内機関に申請して実施するやるという目的で行われているため、日本国内のNGOでやるということが要件である。海外のNGOは、「コミュニティエンパワメントプログラム(CEP)」ということで現地事務所に申請する。ただし、その場合条件は過去JICAがやったプロジェクトのフォローアップという形でやらなければならない。また、草の根度、ともに認められるものでなければならない。

Q:草の根技術協力の規模は。
A:草の根技術協力は、三年間までで上限五千万円。

Q:こちらの草の根技術協力でやったものを、現地NGOと連携してはできるか。
A:それはこれからの課題である。

Q:「草の根度」は非常に面白い考え方。日本のNGOの主体性が必要?活動の主体は日本のNGOだが、向こうのコミュニティがどれほど関わるか、ということか。
A:もし、現地で関わるのが地方政府だけでコミュニチィ、住民の参加が少ない場合、ということだと草の根度が変わる。

Q:「草の根度」の指標がどのような基準であるかということは重要。これを明確にすれば国内の市民は応募しやすくなる。
A:文章化をしなければならないという課題がある。現在は、制度の整備をしている状態。
また、内容の問題もある。仕事そのものはJICAのやっている技術協力と同じだが、JICAはもっと広い範囲で行い、プロジェクトになっていく。保健衛生活動を充実させるなど、JICAがこれまでやっていることと種類自体は同じ。たとえば東チモール。これは県だが、もっと上のレベル。JICAは特定の村でやる、ということは言えず、逆にNGOはそのようなアプローチができるというメリットがある。

Q:JICAも含めた日本のODAで日本のNGOに資金を出している率が0.4%とあまりにも低い。それは、本当か。
A:本当だと思う。草の根技術協力のこのための予算は8億程度。JICAの予算自体は1,700億なので、パーセンテージはそのくらいになる。外務省にも草の根支援は少しあり、JBICにも少しある。しかし、ODA全体のトータルで見るとやっぱりこの数値だと思う。JICAがもっと「育成」していかなくてはならない。

Q: ODAに占めるNGO支援の割合が、一~二年の間で変わらなければいけないと思うが。
A:まず、欧米とは歴史が違う。アメリカなどではNGO職員は普通の人たちよりいい給与をもらっているような社会であり、そのような認識があるが、日本はむしろ逆。「清貧」の考え方もある。我々の草の根は現場に圧縮した世界で、日本社会をすべて反映するのではないが、そのような意識も残る。

Q:草の根指標などを作っていく、提案はあるか。
A:現時点では、指標について箇条書きなどでは言えると思うが、言葉にするとまだやりとりが足りないので、少し違ってきてしまうかもしれない。

Q:国内事業部の市民参加協力室というところで、JICA・NGOの定期協議会がある。ここに情報が届いているか。
A:まだ届いていないと思う。

Q:予算は最大三年で5千万とおっしゃったが、各案件で平均するとどれくらいか。いちばん小さいのは。
A:現在は、二種類に分けている。海外での活動が二年未満であれば、海外で二年間事業を行い予算は一千万以内というほう「草の根支援型」に申請アプライして欲しいと思うしていただき、二年以上の実績がある場合は3年で5千万以内という「パートナー型」に申請いただける。しかし、多くの方が5年で5千万円というほうに申請アプライする。未使用の経費の戻入も多く、JICAにとっては大きな問題。使い切れなくて戻されることもあり、それは望ましくない。

Q:現地NGOと組む場合が多いが、業務内容のすみわけと言う点で、たとえば国際NGOはお金と技術だけ落としていって後は任せる、というような流れも多いと思うが、草の根技術協力は今のところどうか。
A:もっと日本のNGOが前面に出ると言う趣旨で行っている。国際NGOの日本支部などとも日本人スタッフの主体性が尊重されるよう留意していただきながら、JICAは相談に乗るという形で関与している。JICAが資金を出す目的は、そのようなところである。しかし、実際は、単に資金を吸い上げるパイプにもなりがちである。(国際NGOの日本支部など))

Q:環境のプロジェクトの良い例はあるか。
A:私のわかる範囲では、提案はあってもあまり実現されていない。環境NGOは概して環境を見ていてコミュニティの人たちに対してはどうするか、ということについて十分でない弱い傾向がある。生態系はよく知っていても人間の生活については焦点がぼやけている、という例が多い。環境度は高いが、草の根度はいまひとつである。たとえば廃棄物などということでやれば、人とのかかわりが出るのではないかと思う。

Q:「環境と開発」という視点が必要ではないか。
Q:あるいは、JICAと申請されるNGOのコミュニケーションギャップもあるかもしれない。募集要項に明らかな形で「草の根度」が説明されているかどうか。NGOは理解していないかもしれない。
A:「草の根度」と言う言葉は出ていないので、このような意図であるということを説明していかなくてはならない。

Q:環境と開発は、農業の分野で関連してくるのではないかとおもう。農業の分野では密接につながっている。最近セネガルの農業指導者の話を聴く機会があったが、自給自足農業が大切であると同時に、商業化が大事と言うこと。自給自足だけでなく、所得向上として加工産業が必要であるという意見があった。そのような二本立てを望んでいる、ということ。官民協力の難しさ。最終的にはコミュニティ全体の雇用促進など色々あるが、その過程が、民間セクターということが入ってくるが、そこに対して政府は支援をすることができないということをいう。
A:草の根と言うテーマでいえば、少しでもマーケティングのお手伝いができるかもしれない、ということで活動をしているケースもある。(例:東チモールのコーヒー生産とマーケティングの協力など)とても小さな規模ではあるが、そのような活動もしていく草の根技術協力は可能ではあるが、地域の所得向上などにつながるような大きな話につながるまではとても時間がかかる。
また、草の根技術協力の中においてもODAレベルでも、農業について生産だけでなく加工へ結び付けるという認識は高まってきている。草の根技術協力も例外ではないと思う。(例:ガーナ、シェアバターなど販売に関して女性のグループへのセミナーをやるなど)まだ少ないが、JICAの技術協力のなかにもある。
一般的に、マーケティングが得意なNGOがあまりない。たとえば、有機農業はできても、売るのはどうするのかということをできていないケースが多い。有機農業でできたものを買うのは他の地域の層だというような結果もある。

Q:国内NGOの管理費や人件費に使えるか。
A:使える。外務省も草の根支援をやっているが、外務省は主に物品調達など。JICAは、機材の購入は少なめにして、たとえば7割を人件費関係にしていただくという形でやる。ただしもちろん上限はある。人件費は一人当たり月次で23万円ほどなど。あとは、現地NGOの活動に従事する部分も管理費として支払いできる。ただ、この資金がNGO自体の資金のほとんどというやり方で活動をしていくというのは困るが。

Q:このように管理費などが重視されるようになった背景は。
A:JICAのほうが、外務省よりもこのようなことに関わる人が多い。外務省では人数も少なく、いちいち人件費などは現実問題処理しにくい。思想的フィロソフィー的に強いて言うなら、JICAは技術協力と言う意味合いで、このようなことをやっている。

Q:JICAはNGOの技術力や人間などを主体的にみているということだが、外務省では具体的にどのくらいか。
A:外務省では、管理費などを三割いれると予算が通るのが厳しくなる。  の「日本NGO無償」ではソフト面の予算は三割未満が原則と承知している。

Q:そのようなことを文書化したものはあるか。
A:JICAは技術協力をする機関である、というようなJICA憲法的なものはあるがその程度。
現地のNGOに対して、JICA・外務省の違いや特徴をわかってもらう必要があるのかと思う。

Q:この8億の予算は伸びないのか。
A:伸びないと思うが、減りはしないと思う。

Q:連携促進チームとは、どういう連携のことか。
A:日本の一般市民との連携。
A:開発教育などもこのチームがやっている。より一般市民に近づくという意味合い。市民の方がこのような国際協力をやりたいといって実際にやってくることもある。

Q:JICAという名前が一般に知られていない。もっと浸透させていくべき。「草の根度」の話を、これを受けたNGOの皆さんとやってはどうかという話があったが、なかなかJICAはきちんと決まった部分がなくて、実際に業務をやりながら、という側面もある。NGOの皆さんと対話しながらやることによって。これに特化した話し合いの場を持つ必要がある。
A:本部に伝えます。なお、一般論だけで相互理解していくには限界もあるので、皆さん個々のご関心事項について、直接当チームへご相談いただければ幸い。

Q:ネパールの案件について。
プロジェクトをJICA専門家と連携して相手国政府にフィードバックしていく、という方向性はとても新しいと思う。
A:今までは上からのアプローチで、相手国政府にはJICAが言う形だが、このような草の根活動からのフィードバックということで報告ができれば、説得力がある。このようなやり方が広がるチャンスも考えられる。   <勉強会は終了>


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