勉強会 開催報告 】
 
 ■□  第1回 勉強会 テーマ : 「南アフリカ市民社会と現地NGOとのネットワーキングの極意」

 
 講 師: 津山 直子氏 (特活)日本国際ボランティアセンター(JVC) 南アフリカ現地代表 / TCSF会員)

  日 時: 5月22日(月)18:30~20:30

  場 所: 早稲田大学アジア太平洋研究センター6F 610号室


 【勉強会の内容】
今回は、長年に亘り南アで活動を行なわれている津山直子氏をお招きして、「南アフリカ市民社会と現地NGOとのネットワーキングの極意」というテーマでお話をしていただきました。
アパルトヘイトが終わって12年を経過した南アフリカの市民社会は、その後どのような変遷を辿っているのか、現地NGOとのネットワーキングをどのように行うべきかなど、貴重なお話を伺うことができました。

1. JVC南アフリカ事務所(1992年に開所)の活動

・ 91年に30以上の現地NGOを回り調査をした結果、トランスカイホームランドで女性たちが進める技術訓練や協同組合活動の支援を開始。
・ スラム地区の住民組織による生活改善にも協力した。
・ 94年より難民支援活動。
  ① UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と連携した職業訓練。
  ② 第一期は、南ア人の帰還難民(94-96年)。第二期は、民主化後に増えた他のアフリカ諸国からの難民(97-2000年)が対象。

・ 現在の活動
  ① 環境保全型農業(東ケープ州)
  ② HIV/AIDS(リンポポ州)
女性によるHIV活動(ティバブ等)が活発に行なわれており、村のボランティアは、NGOスタッフ以上に積極的に活動している。HIV陽性者が積極的に活動できるよう自助グループの支援なども行っている。

2. NGOへの依存是正

NGOや政府が実施するワークショップやミーティングでは、昼食が出されるので、それが当たり前になっていた。これを廃止し、ホストする村の農民が、自らの農地でとれた野菜などを使って、昼食をふるまうように依頼した。すると、自分のつくった安全でおいしい食事をふるまうことを通じて、農民らが自信を深めるとともに、自分たちのワークショップであるという意識を持つようになった。この結果、農民がより主体的に活動するようになるなど、意識変革が見られた。
 
3. 問題点と課題

・ 現地NGOスタッフと農民との間に乖離がある。
・ 資金援助が現地の主体的な活動を壊すことがあるので、どんな援助が必要かをよく見て慎重に援助することが大切。その時に喜ばれる援助ではなく、5年後、10年後によりよい状態になることが重要。
・ 南アのように一方で大量生産する企業が強い国では、生産協同組合などによる収益の獲得は難しい。
・ 南アは遺伝子組換え(GMO)を主食の食品で認めている唯一の国。また、政府が進める「貧農」支援は、農薬や化学肥料を大量に使い、結局農民の経済的負担が増えるもの。この問題を解決するには政府へのロビーイングが必要である。
・ 活動の目標達成のために「トレーニング」を位置づけ、フォローアップもしっかりしないと、トレーニングを実施することが目的になってしまう。
・ 民主化後に作られたNatural Development Agency(NDA、現地NGO支援のための半官半民組織)は、支援先NGOの選択などにおいて透明性の問題を抱え、運営が行詰った。
・ アパルトヘイト下でNGO活動が厳しかった時はコミットメントが高かったが、最近はステップアップの場として捉え、NGOスタッフがサラリーマン化する傾向にある。それぞれのNGO内の賃金格差や、NGO間の格差も拡大している。
・ ワークショップ、プロジェクトなどのNGOがよく使う用語は、住民にとっては異質の言葉で、「外部からのお金が入る」という理解になってしまうので、できるだけ使わないようにしてきた。
・ JVCは、他国の国際NGOに比べ、支援できる資金は少ないが、現地に深く入り、相互に学びあうよう姿勢で活動してきた。


4. 質疑応答

・ ペラムのような反GMO組織は南アにはないのか?
 * ペラムは南部・東部アフリカのNGOのネットワークなので、南アのNGOでもペラムに参加しているNGOもある。Bio-WatchというNGOがGMOの調査やアドボカシーを活発に行っている。

・ NGOスタッフと農民との関係は?
 * 乖離していることが多い。アパルトヘイト時代は村での活動が制限され、フィールドワークができなかったこともあるのか、フィールドワークが弱い。

・ 「豊かさ」の概念をどのように捉えるか?
 * お金があるから「豊か」だと言えない。「豊かさ」も多様な側面から見る必要がある。安心して、前向きに生きられないようなことも大事。

・ 南アにおける「市民社会」、「農民グループ」の区分けは?
 * 「市民社会」という語の対称は広い範囲に亘り、「農民グループ」やNGO、労組、教会も含まれる。

・ ActionAidとの関係は?
 * ActinoAidは、本部をロンドンから南アに移した。アドボカシーでは、協力してきているが、農村での活動について、もっと彼らの経験からも学びたい。

・ TCSFが行っているパートナーシップ・セミナー開催時に多くの現地NGOを集めるにはどうすればよいと思うか?
 * ①趣旨を理解している人をキーパーソンとして、その人を通して他団体への呼掛けを図る、
   ②セミナーを通して何を目指すのかを明確化する必要がある、
   ③ActionAidのように「パートナーシップ」の経験が豊富なNGOから情報を得るのも良い。
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