■□ シンポジウム 開催報告
 
       シンポジウム  「紛争から平和、開発への道のり  - 人間の安全保障とアフリカ- 」
                 From Conflict to Peace and Development : Human Security in Africa

 
 日 時: 2006年6月16日(金) 14:00~16:00
 会 場: 早稲田大学 西早稲田キャンパス 18号館 国際会議場第3会議室

 共 催: 早稲田大学アジア太平洋研究センター、早稲田大学アフリカ研究所、(特活)TICAD市民社会フォーラム
       国連児童基金(ユニセフ)東京事務所
 後 援: 外務省
 スピーカー   : ペール・エンゲバック(Mr. Per Engebak)  ユニセフ東部・南部アフリカ地域事務所長
             辻 優 氏       外務省国際社会協力部参事官
 コメンテーター: 井本 直歩 子氏   (特活)TICAD市民社会フォーラム会員/元JICA企画調整員
 モデレーター : 勝間 靖 氏     早稲田大学アジア太平洋研究科助教授
  シンポジウム内容
1. Per Engebak氏の講演要旨

・ International Conference on the Great Lake Region(ICGLR)の設立

 人間の安全保障への取り組みのためにAUとUNによって2004年11月に成立

・ Graca Machel Study-武力紛争における子ども問題に対する10の勧告

  ① 子どもと女性が平和と安全のアジェンダの中心に置かれる
  ② 子どもの権利の侵害に対する報告と監視
  ③ 子どもの健康、精神的健康、教育に優先度が与えられる
  ④ 青少年のニーズに焦点を当てることの重要性
  ⑤ ジェンダーに基づく暴力を防ぐためのピースキーパー等への特殊訓練及び戦争犯罪人への処罰
  ⑥ 主要機関の、国内的に強制退去させられた子どもたちへの責任
  ⑦ 18歳以下の子どもたちの軍隊への採用を止めるグローバルキャンペーン
  ⑧ 地雷の全面的禁止へのグローバルキャンペーン及び子どもたちへの地雷教育・ケア
  ⑨ 紛争の社会的経済的原因の予防
  ⑩ 提言を監視する特別代表者の任命

・ 子ども兵の動員解除、武装解除、社会への再統合

 世界で30万人の少年兵が存在すると見込まれている。また拉致され性的奴隷にされる少女たちも多数存在している「見えない子ども兵」。彼らは戦争犯罪者であると同時に戦争の犠牲者である

・ 学校の再建築

 学校は以下のような理由で復興段階において重要なものと認識されるようになった
  ① 子どもたちが成長過程の失われた年月を養育し、取り戻すための機会
  ② 子どもたちの日常生活の再構築の手段
  ③ 保護的環境の提供
  ④ 平和地帯となりうる
  ⑤ 精神的サポート活動のセンターとなる
  ⑥ 平和教育を支援する
 以上の課程において、教師の能力の構築が重要である

・ 青少年への取り組み

 紛争中及び紛争後の青少年への取り組みが決定的に重要である。
 人道的支援の空白年齢となることがあるが、平和構築のための多大な能力を持っている。

・ HIV/AIDSの脅威

 紛争後の効果的予防策と反応を構築するための挑戦をくじくものである


2 外務省 国際社会協力部副部長辻優氏の講演
  - 「Promoting Human Security and Role of Japan」


・ 人間の安全保障のコンセプトとして、第一に軍事的なもののみならず、災害なども脅威と受け取る。
 第二に基本的人権を主張する。第三に個人と共同体の保護。第四には様々な機関からの援助

・ 人間の安全保障のための信託基金
 日本が310億円を拠出して設立。UNICEFは最もこの活動にアクティブな機関のひとつである。
 人々の保護とエンパワーメントに貢献している

・ アフリカ開発のための人間の安全保障と日本の支援の強化
 2007年までにアフリカへのODAを倍増する。2008年にはTICADⅣを開催する

・ TICADのプロセスとアフリカにおける平和統合のためのTICADのサポート
 「平和の統合」「人間中心の開発」「経済成長を通じての貧困削減」という中心3本柱

・ アフリカ支援における日本とユニセフの協力


3 TICAD市民社会フォーラム 井本直歩子氏のコメント

・ 大湖地域の平和の脆さについて。真の和解には時間がかかる。ルワンダでは5万5000人が動員解除され、治安も安定している。カガメ大統領の強力なリーダーシップのもと、ルワンダは平和構築の努力を続けている。かつて兵士として身内を殺したものが、自分たちの共同体に戻り、被害者のために家を建てたりするなどのコミュニティ奉仕を行い、罪を償っている。各自治体で行われるガチャチャ法廷でも罪の告白、話し合いによって和解の取り組みがなされている。しかし、10数年前の大惨事を簡単に忘れることは難しく、和解への道は険しい。

・ ルワンダをはじめとする大湖地域の平和の定着には、アフリカの人々のオーナーシップによる問題解決が不可欠である。国際社会の押し付けによる解決は、長期的な問題を蓄積しかねない。アフリカ諸国は人間の安全保障の観点から、子ども、vulnerable groupを含む最貧困層に配慮しながら、政策を推し進めることが、平和の定着を支えることになる。

・ 国際社会が平和の定着のためにできることは、アフリカ諸国のオーナーシップを尊重しつつ、人間の安全保障に配慮した支援であり、右によって国民は不満を溜めず、正しい教育を受け、未来を築き上げていくことができるだろう。

・ 自身は昨年12月、『ワールド・スイム・フォー・マラリア』という世界的なチャリティ・イベントの日本での活動にコーディネーターとして携わった。世界中で25万人が一斉に泳ぎ、水泳というスポーツを通して世界がひとつになった。日本でも著名選手、お年寄り、子どもを含め、3万人以上が泳いだ。募金はすべて蚊帳の購入に使われ、現在も配布作業が行われている。このような草の根の活動はいろいろな点で効果が高いと思われる。

4. 質疑応答

Q.エチオピアではルワンダのような紛争はないが、子どもに関することはルワンダ同様に考慮に入れられるべきだ。

A.残虐行為は世界中でそれほど異なるわけではなくグローバルに考えなければならない。
 ・UNICEFはもっとこのようなことを出版して先進国に伝えていかなければならない。

Q.少年兵の再統合は難しい。武装解除できたとしても、彼らが帰るべき学校は破壊されて しまっている。もっと問題に取り組んでいかなければならない。

A.教員養成なども急がなければならない。学校は日常の象徴である。健康問題にも取り組まなければならない。日本はこれらのことに貢献してくれていて、UNICEFは感謝している。天然資源から入る収入をこれらのことに活用していかなければならない。

Q.宗教が紛争に与える影響は?

A.確かに、武装集団のリーダーが宗教に関係していたりもする。しかし、比較的単一民族・単一言語のようなソマリアでも紛争は存在する。

Q.アフリカは第二次世界大戦・冷戦と巻き込まれてきた。オーナーシップこそが問題を解決する手段だと考えられる。

A.その通りである。アフリカは国境を策定されたという点でいくつかの問題は国すら超えて行なわれるべきだと思う。
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