| ■□ シンポジウム 開催報告 |
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国際シンポジウム 『日本のODAは世界の貧困を救えるか?』
〜日本のODA改革、援助の国際新潮流そして貧困者の視点〜
OECD/DAC、日本政府、主要援助ドナー、そして市民社会による対話
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去る5月27日(土)、(特活)TICAD市民社会フォーラムほかNGO 5団体の共催で国際シンポジウムが開催されました。
このシンポジウムは、2000年の国連ミレニアム開発サミット以降、国際合意になった貧困削減に対して、日本の政府開発援助(ODA)がどこまで貢献しているのか、していないのか、貢献するには何をすべきかについて考えるために開催されたものです。
当日は、パネリスト、コメンテイターのほか、5名の在日アフリカ大使をはじめ国際機関や政府関係者、NGO関係者を含む185名の方の参加を得ることができました。また、シンポジウムの模様はインターネット上で世界に同時配信されるなど、多くの反響をいただきました。
日 時: 2006年 5月27日(土)10時~13時
会 場: JICA 国際協力総合研修所 国際会議場 (市ヶ谷)
言 語: 日本語/英語 同時通訳あり
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| 【式 次 第】 |
■挨拶 主催者代表 船戸 良隆氏 (特活)国際協力NGOセンター 理事長
■日本のODAについて
「ODA改革への危惧」 大橋 正明氏 (特活)国際協力NGOセンター 副理事長
「日本のODAの構造問題」 高橋清貴氏 ODA改革ネットワーク
「日本のODAへのメッセージ」 リチャード・マニング氏 OECD/DAC議長
「日本のODAの取り組み」 兒玉和夫氏 元外務省経済協力局 審議官
■ODAの貧困削減・市民参加への取組みについて
英国 エードリアン・デービス氏 英国国際開発省(DFID)中国事務所 代表
フランス ピエール・ジャケ氏 フランス開発庁(AFD)開発部 主席エコノミスト
オランダ ロブ・デボス氏 オランダ外務省国際協力局 副局長
■NGOの視点
大林 稔氏 (特活) TICAD市民社会フォーラム 代表
■コメンテイターによるコメント
廣野 良吉氏 (特活) ADP委員会 理事長
ミカエル・ルスカウ氏 OECD/DAC事務局長
アンリ・ドルフィーユ氏 Coordination SUD (フランス)会長
ステファン・プロフィット博士 在京ドイツ大使館経済部参事官
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| ► 主な発言内容 |
<日本の開発援助について>
▼まず、国際協力NGOセンターの大橋氏とODA改革ネットの高橋氏より、日本の市民社会の視点から、日本のODAの現状と構造について問題提起が行われた。
結論的には、日本の現状のODA改革論議には、世界の貧困撲滅への寄与という議論が欠けており、これを乗り越えるため現在
正念場を迎えているという点が共有された。
▼次に、OECD/DAC議長マニング氏からは、貧困に喘ぐ国々への支援を拡大することが依然重要であるという指摘と、日本がミレニアム開発目標(MDGs)策定やパリ宣言の実現に向けて果たした役割についての確認、そしてすべてのドナー諸国がもっと協調しなければならないという指摘があった。
また、DACによる日本政府への勧告では、政策の一貫性に関して分析する能力を高めたり、開発援助の重要性について国民を啓蒙することが重要であると指摘していることが紹介された。
サハラ以南アフリカへの援助においては、ドナー側受益国側両方のアカウンタビリティの強化が必要であり、貧困の多様な側面を見ていかねばならず、日本はインフラへの貢献が大きいが、社会・環境的な側面にも目を向けていく必要があると強調した。
最後に、マニング氏は、外務省がもっとJICAに無償援助の権限を与えるべきと述べた。
▼外務省の兒玉氏は、高橋氏の発言を受けて、日本のNGOが活動をするにあたっては、途上国側のオーナーシップをもっと考慮することが必要ではないかと疑問を投げかけた。また、マニング氏の紹介どおり、日本がMDGsの策定など、援助潮流に積極的に関与していることが強調された。
貧困削減については、経済成長が必要であり、サハラ以南アフリカについては、インフラ整備と農業に対する投資が重要であるというNEPADの認識を共有している旨が紹介された。
また、既に援助協調などはタンザニアでとても進んでいることが紹介された。
<各国の開発援助と貧困削減、そして市民社会との関係について>
以上の日本のODAについての論議の後、欧州各国ドナーから、それぞれの国における「貧困削減とODA改革、そして市民社会」についてプレゼンテーションが行われた。
▼英国のデービス氏は、英国では「ODAが貧困削減以外のためにある」などと言ったら法律違反に当たる、政府は一丸となってこの目標のために力を注いでいる・・・という英国のODAの明確なフィロソフィーが紹介された。
英国の具体的なODAポリシーとして、援助協調や援助効果向上のためのコミットメント、財政支援の普及のためのアドボカシー活動があげられた。
英国の援助額は3倍に増え、アンタイド化が進んでいること、政治的な高いコミットメントという意味で恵まれているだけでなく、英国国民の意識も高まってきていることが紹介された。
また、DFIDは市民社会の役割を重視し政策的な一貫性を達成するためにも、官・民・市民社会のパートナーシップが不可欠と考えているという。
市民社会支援のために、市民社会組織との話し合いの中から生まれた柔軟性の高い基金である「パートナーシップ・プログラム合意」を通じて資金的な支援を実施していることが説明された。
また、被援助国内の市民社会は、被援助国政府の透明性を高め、より良い政策や政治のあり方を促進し、紛争予防にも寄与することができる市民社会の役割を重視し、政府と民間セクターと市民社会とが連携できる仕組みを模索していると紹介された。
▼フランスのジャケ氏からは、フランス政府はMDGs達成のために強いコミットメントを有し、(1)結果重視のマネージメント、(2)ODA受益者のオーナーシップの拡大、(3)援助協調、(4)アフリカ重視を主要な焦点としていることが紹介された。また、将来のODA財源の不確かさなどから、フランス市民社会とも協力して、航空チケットなどへ課税する「革新的資金メカニズム」を創造したことが紹介された。
また、同氏からは、世界の貧困や気候変動等と闘うための基本的フィロソフィーとして、「グローバル公共財 Global
Public
Goods」という新しい考え方が提案された。
市民社会との関係については、開発援助の効果を高めるために、NGOなどとワーキング・パートナーシップを構築していきたいとのことで、アカウンタビリティと透明性の確保や経験の共有という面で連携することが重要ということであった。
▼オランダのデボス氏からは、援助の効果をあげるには、グッド・ガバナンスは不可欠であり、これなしには援助の量を増やしても無駄であるとの主張がなされた。
G8諸国は、援助の質を高めることも目指さなければならないとし、地政学的な理由によって、望まれていない援助が多く行われていることについて問題提起がなされた。
そして、援助すべてに当てはめられる一つの型などはなく、したがって柔軟性が不可欠である点、南の市民社会は自国のグッド・ガバナンスを向上させる上で重要な役割を担っているとの指摘がなされた。そして、南北の市民社会、政府と市民社会の連携が不可欠であるという主張がなされた。
なお、オランダの援助はその10%が市民社会向けのものであり、その割合は拡大しているということであった。
<貧困者の視点について>
▼最後に、TCSFの大林氏より、日本を含め各国のODA改革や国際潮流に欠けている視点として「貧困者」の視点があるとの指摘がなされた。そして、「救いたい対象」として客体化されている「貧困者」をもっと当事者として中心に据える必要があるとの主張が出された。
外務省や各国関係者がいうオーナーシップが多くの場合、受入国政府のみを指し、当事者としての貧困者自身の決定や評価への参加をまったく考慮に入れていない点が問題として指摘された。
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<コメンテイターやフロアーからのコメント>
後半部分では、国際機関に長らく勤務したADP委員会の廣野氏、DAC事務局長ルスカウ氏、フランスNGOのドルフィーユ氏、ドイツ大使館のプロフィット氏より、それぞれのこれまでの経験に基づく貴重なコメントをいただいた。
▼廣野氏からは、ガバナンスが重要であり、そのためには市民社会の能力強化が不可欠であるとの指摘がなされた。
▼ルスカウ氏からは、一カ国(日本)のODAだけで世界を救うことはできないが、日本のような有力ドナーの関与は不可欠である、そして援助の効果向上のためには、途上国でのモニタリングが不可欠であるとの認識が示された。
▼ドルフィーユ氏からは、NGOを政府との関係ではなく、よりパートナーとの関係の中で考えてほしいとの提案がなされた。
▼プロフィット博士からは、ドイツのODA政策について、貧困削減や人権への配慮など、市民社会に根ざした活動を活発化させていくことが決まり、予算も増え、市民社会への拠出も増えているとの紹介があった。
▼南アフリカ大使からは、オーナーシップの問題や市民社会とのパートナーシップは重要であるが、市民社会のキャパシティビルディングも重要であるとの指摘がなされた。 以上。 |
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