■□ 政策提言

2006428

 小泉首相への要望書

小泉純一郎 総理大臣閣下

TICAD市民社会フォーラム代表 
大林 稔
 


 私たちは、アフリカ問題のシンクタンク・アドボカシーを担う組織として、日本のアフリカ政策について研究を続けています。日本とアフリカの市民社会の英知を結集した成果を、お手元にお届けした「アフリカ政策市民白書第一号」にまとめましたので、ご覧ください。

私たちTICAD市民社会フォーラムは、日本の市民社会の一員として、貴殿がサハラ以南アフリカ二カ国(エチオピア、ガーナ)を訪問されることを心から歓迎します。日本政府が、この地域の貧困削減に本腰で取り組む希望を与えてくれるからです。

私たちの研究は、日本はアフリカの私心なき友人であるべきだと結論づけています。アフリカに経済的、政治的、あるいは戦略的利益を求めるべきではありません。アフリカの民衆に必要なのは、貧困との闘い、平和と民主的な政治であり、外交ゲームではないからです。

アフリカでの貧困との闘は、世界第二の援助国である日本が、人道的な協力を飛躍的に強化することを求めています。私たちは、貧困者の雇用増大と所得増につながるかぎり、日本との経済関係の拡大を歓迎します。しかし、地理的歴史的な関係から見て、当面民間経済協力に過大な期待を掛けることはできません。

私たちの研究は、日本とアフリカの協力は、市民の参加によってのみ、成果を上げることができることを示しています。これまでの協力は、政府間だけの仕事であったため、資金の多くを無駄にしました。

 以上の立場から、わたしたちは貴殿がアフリカ訪問地において、次の三点を明確に述べること提案します。

1. アフリカ政策は、政治・経済的な利権を目的とせず、貧困との闘い、民衆のよりよい暮らしを実現することを唯一の目的
  とすること。そのためにODAをGNI比.0.7%に引き上げるという国際公約の実現を、具体的日程とともに公約する。
  また、2005年のグレン・イーグルス・サミットでの貴殿の公約(今後3年間でアフリカ援助を倍増)を、債務削減分を含ま
  ずに実現する。

2. 国際協力において、サハラ以南アフリカに高い優先順位をおくこと。そのために、サハラ以南アフリカにODAの35%を
  振り向けること。

3. アフリカ支援を、日本とアフリカ双方の市民社会参加を通じて実現すること。そのために、2008年に予定されている
  第四回東京アフリカ開発会議を、日本政府・AUならびに日本とアフリカの市民社会の共催とする。
  対アフリカODAの40%を市民社会を通じて支出する。また、アフリカ日本連帯基金を設立し、運営は市民社会が政府
  と平等の資格で実施するものとする。

貴殿はかつて日本国憲法前文の次の部分を引用されました。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」今日この精神の実現が最も待たれているのは、サハラ以南アフリカです。この文章を引用することにより、アフリカ民衆は貴殿の訪問の崇高な意義を知ることになるでしょう。そして、上記の三点を宣言することにより、その動機が真摯なものであることを理解するでしょう。


今回の貴殿のアフリカ訪問が、憲法に基づく、日本とアフリカの民衆レベルでの協力の幕開けとなることを希望します。
Copyright (C) 2006 by TICAD Civil Society Forum All Rights Reserved.