さ行

 債務帳消し (Debt Cancellation)
 1982年のメキシコに始まる発展途上国の対外累積債務問題の解決のために講じられた、債務の繰り延べ(リスケジューリング)、債務削減、再融資などの救済措置を指す。
サミットやパリ・クラブなどの場で途上国の債務問題について協議され、様々な救済策が講じられてきた。サブサハラ・アフリカのような重債務貧国に対しては、1988年9月にトロント・スキーム(公的債務の実質3分の1を削減)、1990年9月にトリニダード・スキーム(ストック・ベースでの債務削減を初めて提案)、1991年12月に新トロント・スキーム(公的債務負担を元本の50%削減)、1994年12月にナポリ・スキーム(公的債務負担を元本の67%削減)が合意され、適用実施されてきた。
 (「国際協力用語集」国際開発ジャーナル社より)
 参加型開発 (Participatory Development Strategy)
 開発プロジェクトにおいて、「ドナー側或いは専門家から一方的に指導・啓発を行うのでなく、相手国側の人々の声に耳を傾けるべきである」という考え方から生まれた開発の概念。
受益者のニーズを反映させ、プロジェクトのオーナーシップや持続性向上に有効であるとして、開発プロジェクトの多くで、「参加型開発」手法やツールが用いられている。地域住民の参加の場面やレベルはさまざまであり、住民を計画段階のニーズ調査の対象とするケース、実施段階の労働力として参加を求めるケース、計画作成から実施まで住民に主導権を与えるケースなどがある。住民をエンパワーメントするという「目的」としての参加型であるべきか、プロジェクトの効果や持続性向上のための「手段」としての参加型であるべきかなど専門家の間でも議論があり、「参加型開発とは何か」について明確なコンセンサスはない。
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 識字率 (Literacy rate)
 『人間開発報告書』よれば、成人識字率と若年識字率に分かれ、成人識字率は15歳以上の、若年識字率は15-24歳の中で、日常生活において簡単な短い文章を読み書きを通して理解できる能力を保持する人の割合とされる。識字率をジェンダーで分けると、大抵の場合女性の識字率が圧倒的に低い。
 自助努力 (Self-reliant efforts)
 発展途上国が自らの経済社会開発のために行う自らの努力。
先進国による援助もあくまで自助努力を助けるものであり、自助努力がなければ援助の効果も期待できない。アフリカの市民社会は日々の暮らしの向上ということでは、自助努力を続けている。それを開発という視点で介入する外部者がどう理解し、アフリカの市民社会とコンセンサスを持てるかということが、開発というアクションを始める際に重要となる。
 持続可能な開発 (Sustainable development)
 1987年に環境と開発に関する世界委員会(83年の国連総会決議に基づき設立。委員長はブルントラント・ノルウェー首相=当時)が発表した報告書「われら共有の未来」(Our Common Future)においてこれからの世界のキー概念として提唱された新しい開発の方向性である。
 持続可能な開発とは「将来の世代がそのニーズを満たす能力を損なわないように、現在の世代のニーズを満たすような開発」と定義される。重要な要素としては、世代間の公正、すなわち将来の世代のための環境・資源の保全と、現世代内の公正、すなわち全ての人々の基本的ニーズの充足がある。従来、環境と開発がトレードオフの関係にあるとみられがちであったのに対し、環境保全が将来の開発に不可欠との視点を提供した点で大きな意義を持つ。
 (「国際協力用語集」国際開発ジャーナル社より)
 重債務貧困国 (HIPCs:Heavily Indebted Poorest Countries)
 対外負債が対外債権を上回る国を債務国という。
累積対外債務の返済ができないと対外借入分は返済期日の繰り延べないし金利の減免措置が採られるが、対外債権は国際的な流通市場で大幅に売られその価値が激減する。累積対外債務が格別に多く、返済可能性が低い国には特別の債務救済措置を採らないと新たな貸手が現れず、国内経済が破綻するので、HIPCsとして世界銀行および債権国は特別措置を講じている。
 世界銀行はHIPCsの定義を「債務÷GNP比率が80%、ないし債務返済÷輸出比率が200%のいずれかを超える国」としている。所得水準によって、重債務低所得国と重債務中所得国に分けられるが、HIPCsは両者合わせて50カ国をこえている。
(「国際協力用語集」国際開発ジャーナル社より)
 ジュビリー・キャンペーン (Jubilee 2000)
 HIPCsが抱えている先進諸国、IMF、世界銀行から借りた返済不可能な債務を2000年までに帳消しにするよう求めていた運動である。この運動はアフリカ・キリスト協議会の要求によって始まり、世界に広まった。
 ジェンダー開発指数 (GDI:Gender Development Indicator)
 HDIと同じく基本的な能力の達成度を測定するが、女性と男性の達成度における不平等を考慮して調整した指数。
 したがって基本的な人間開発においてジェンダー格差が大きければ大きいほど、その国のGDIはHDIと比較して低くなる。 (「貧困削減 用語集 http://gwweb.jica.go.jp/」より)
 ジェンダーエンパワーメント開発指数 (GEM:Gender Evaluation Methodology)
 女性が政治および経済界に参加し、その意思決定に参加できるかを測定するもの。
GDIは能力の拡大に焦点を置くが、GEMはそのような能力を活用する機会があるかを問題にするものである。
 (「貧困削減 用語集http://gwweb.jica.go.jp/」より)
 植民地独立付与宣言
 1960年12月14日第15回国連総会で採択された宣言であり、植民地主義の終結を戦後国際社会が明確に宣言した文書。正式には「 植民地諸国およびその人民に対する独立の付与に関する宣言」。
 食料安全保障 (Food Security)
 すべての人が、健康的な生活を送るのに必要な食料を入手できる状態をつくることを指す。
しかし食料援助や輸入に頼ってそれを達成するのではなく、通常この言葉は、食料生産の自給力を高めるという意味で使われる。「食料安全保障」は以前は国家レベルで食料自給を達成することと同義語とされていたが、今では主として家族レベル、個人レベルの問題として捉えられている。
 1996年の世界食料サミット会議で「持続的な食料安全保障」を達成するための声明が出され、2015年までに世界の飢餓人口を半減するという約束が表明された。なおFoodという語は、日本語で「食糧」と「食料」の2つの書き方がある。主食を連想させる食糧の方が多く使われるが、個人に必要な栄養価を満たす食料安全保障が重要になった現在、「食料」の字を使うべきだとする考えが強くなってきた。
 女性と開発 (WID:Women In Development)
 女性は開発の担い手として、開発のあらゆる段階で積極的な参加の機会を与えられなければならないという開発援助のコンセプトである。
1970年代はジェンダーという概念がいまだ十分に浸透しておらず、WIDがよく使われていたが、1980年代中頃になって「ジェンダーと開発(Gender and Development (GAD)」が主として英語圏を中心に普及するようになった。女性の可視化とその開発過程への「統合」に重点を置いたWIDから、男女の社会的関係を視野に入れた開発政策のあり方を考えるGADへの転換は、1980年代半ば頃に起きた。ただし、WIDは今日でもよく普及した考えであり、GADへの転換によって、このような運動志向性が解消したわけではない。開発の恩恵が男女いずれかに偏在しないように、また両者が開発過程の正当な主体として承認され、実効的に参加できるように開発を制定、実施、評価していく政策や援助プロジェクトが実施されてきた。
 (伊藤るり 「ジェンダーと開発」 http://www.igs.ocha.ac.jp/igs/IGS_DB/KaisetsuGAD.pdf より)
 新家産主義体制 (Neo-patrimonialism)
 途上国に見られる政治体制をモデル化したもので、次のような特徴を有する。
第1に、一個人の手に政治権力が体系的に集中している。第2に、政治的な支持を動員するクライエントとそれに対する物質的な報酬を提供するパトロンとの間に成立している互酬的関係(クライエンテリズム)(P4)が体系化されていること。第3に、国家資源の私的流用が頻繁にみられること。
 頭脳流出 (Brain Drain)
 発展途上国の抱える悩みの一つ。
留学は文化要素の移動という性質を持つため、途上国は留学生によって不足している学問上の穴埋め、キャッチアップを図ることができ、ひいては国の発展と国力の増進につなげることができる。このため、科学技術や医療技術、経営知識などを学ぶ留学生を送り出すことは、国家の重要な政策の一つとなる。ところが、途上国で得られなかった知識や技術、経験を積んでも、帰国してそれらを生かす場が母国には存在せず、留学終了後そのまま、あるいは一時帰国した後、先進諸国で就職するというケースが多い。途上国の生んだ優秀な人材が、その成果が発揮されるべき時点で先進諸国に流出してしまうという結果となり、国家間、南北間の格差を縮めるどころか一層拡大する要因となるというジレンマに陥っている。
  (「国際協力用語集」国際開発ジャーナル社より)
 セイフティ・ネット (Safety net)
 開発援助の文脈では、社会的弱者に対する保護対策を指す。
農業生産力の深刻な低下、交易条件の悪化、飢餓や災害などにより危機に陥る貧困層を守るための政策を指すことが多い。これらの政策には、価格補助、食料配給、食料分配制度、雇用保障制度、公的社会保障制度などがある。
 (「国際協力用語集」国際開発ジャーナル社より)
 絶対的貧困 (Absolute Poverty)
 所得もしくは消費が、社会的に認められる最低の生活水準に達することができない状態を指す。
社会的に認められる生活水準の最低必要限度を示すものが(絶対)貧困ラインと呼ばれ、この絶対貧困ライン以下の所得もしくは消費の人々を貧困層とみなす。絶対貧困ラインは、1日1米ドル(1985年の1ドルを購買力平価で換算したもの)が国際比較上よく使われる。国によっては独自に貧困線を算出している場合もある。(例えば、1日必要最低カロリーからこのカロリーを得るのに必要な金額を算出し、これに食料以外の生活必需品を加えて計算するなど)。
 (JICA「アフリカ援助研究入門-アフリカ援助研究会報告書-」2003年9月)
 相対的貧困 (Relative Poverty)
 ある地域社会の大多数よりも貧しいことを示す。
所得に関していえば、設定された貧困ライン以下の所得しか得ていない人は絶対貧困であるが、最低所得者(例えば最貧層10%)に属している人の場合は相対貧困者となる。
 (国連開発計画「UNDP人間開発報告書1997品国と人間開発」)
 ソーシャルキャピタル (Social Capital)
 信頼や規範、ネットワークといった、目に見えないが成長や開発にとって有用な資源と考えられるものを、経済的資本と同様に、計測不可能かつ蓄積可能な「資本」と位置づけたもの。
 (JICA「貧困削減に対する効果的アプローチ」2003年3月より)
 ソーシャル・ファンド (Social Fund)
 一般会計とは別個の財政基金の仕組み。
国々あるいは基金の財源・使用目的などにより性質は様々である。貧困削減の達成に関する側面は、まだ体系的に評価研究されていない。 (JICA「貧困削減に関する基礎研究」2000年4月より)
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