ご挨拶
いよいよ明日より、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)が開催されます。
TICAD IV・NGOネットワーク(TNnet)では、この会議の期間中、会場より随時情報を本ブログにアップ致します。
いよいよ明日より、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)が開催されます。
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2008年5月28日、横浜: 本日、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)が当地で開会しました。福田康夫・内閣総理大臣は開会に当たり演説を行い、今後5年間にわたる日本の対アフリカ支援の方針を表明しました。これに対し、TICAD・IV NGOネットワーク(TNNet)および2008年G8サミットNGOフォーラムは、以下のように見解を発表しました。
経済成長加速化のための民間投資支援
首相はまず、アフリカ諸国が経験している急速な経済成長に言及し、この成長をさらに加速させるための、交通インフラ整備などへの今後5年間にわたる円借款40億ドル、日本からの民間投資の倍増に向けた貿易保険、JBICによる対アフリカ金融支援25億ドル(5年間)などの、様々な支援策を表明しました。
アフリカ諸国が経済成長を必要としていることは確かですが、私たち市民社会組織グループは、アフリカ諸国の社会がさまざまな社会・経済的な分断を抱えている現状を踏まえ、経済が成長し、経済活動が活発化している今こそ、すべての人々がその経済活動に参画できるよう、教育や保健を中心としたミレニアム開発目標分野への資金投入を優先すべきと考えます。
また、一次産品価格の下落を発端に生じた対外債務により、アフリカの人々の貧困は深刻化の一途をたどってきました。アフリカがここ数年間続けている経済成長は、持続的なものになっているとは言い切れません。この状況で、アフリカ諸国に巨額な借款を行い、再び大きな債務を生じさせることが適切なのかどうか、また、アフリカ諸国が、現在、また将来的に、これらの借款の返済能力を確立することができるのか、強い疑問を感じざるを得ません。
ミレニアム開発目標(MDGs)
ミレニアム開発目標について総理はMDGsの達成に向けての決意を明確にし、その中でも保健医療分野の協力強調し、リプロダクティブ・ヘルスの重要性、5年間で保健人材10万人の養成を含む支援策を発表しました。これ自体は歓迎されるべきものの、アフリカの保健セクターで問題となっているのは、貧困層にとって重要な公的保健サービス向け政府予算が不足していることから、養成を受けた資格者の雇用先を確保できず、また、労働にみあった賃金を支払うことが出来ないことから、多数の人材が国外に流出しているということです。保健人材問題に取り組むのであれば、人材の採用及び雇用の継続も含めた資金拠出が必要です。また、総理は感染症との闘いを支援するため、先週行われた世界エイズ・結核・マラリア対策基金への当面総額5.6億ドルの拠出誓約について言及しました。しかし、当該拠出は、暦年2010年末までの2年以内に行われなければ、日本の世界基金への実質的な拠出増になりません。市民社会は、日本政府が当該拠出を暦年2010年末までに完了することを求めます。
また、格差のない社会を創るために教育が果たす役割が大きいことは、TICADの準備プロセスでも繰り返し議論されてきました。首相は「人材はとても大切な資源」であると述べており、教育の重要性に言及しています。普遍的教育の達成のために、FTI(ファスト・トラック・イニチアチブ)への資金拠出が必要です。
アフリカ向けODA拡大
総理は、アフリカ向けの無償援助・技術協力を倍増する旨、表明しました。配布されていた政府資料によると、これを「債務救済とは別に」行うことになっており、ほとんどの増額分が債務救済に消えてしまった2005年の対アフリカ支援倍増公約に比べ、「真水」の増額が見込める点で、評価できます。7月のG8北海道洞爺湖サミットに向けては、この増額が、他の途上国地域から援助資金を奪うようにならないよう、援助総額自体を現在の国民総所得(GNI)比0.17%から0.7%に引き上げるためのタイムテーブルを公表することが求められます。
気候変動
気候変動について福田総理は、クールアース・パートナーシップによる100億ドル規模の資金を強調しました。しかし、この資金は排出削減に取り組む途上国を主に想定したものであり、削減よりも適応を課題とするアフリカ諸国にどれほどの資金が振り分けられるのか、不明なままです。また、この資金は過去の公約であるODAのGNI比0.7%とは別の追加資金として供与され、また気候変動の影響を受ける国々が主体的に資金を活用できるよう、途上国の発言権が確保されている国連適応基金を通じて拠出される必要があります。
また、日本が大量の温室効果ガスを排出し続ける限り、その分アフリカの人々の暮らしは破壊され続けます。日本がまず行うべきことは、アフリカ諸国への適応支援とともに、自らの排出量削減に向けた野心的な中期目標を設定し、それを着実に達成することです。温暖化に関する自らの責任を全うせずに、その被害を受ける国々への支援を行うことでは、問題の一面にしか対応できませんし、長期的には問題の深刻化を防ぐことができません。
以上
本件に関するお問い合わせは、こちらにお願いいたします。
TICAD IV・NGOネットワーク 冨田沓子 090-5217-6448
2008年G8サミットNGOフォーラム 山田太雲 080-3155-7017
私たち市民社会は、本日公開されたTICAD横浜宣言、行動計画およびTICADフォローアップ・メカニズムの草案を、複雑な気持ちで受け止めました。
この宣言および行動計画案が採択されれば、若干の前進ということができます。新しい草案では、これまでの草案で全く言及されなかったり、軽視されてきたりした各種の事項、例えばミレニアム開発目標、民主化、感染症対策、そして市民社会のTICADプロセスへの参加の重要性といったことが明記されています。また、リプロダクティブ・ヘルスの促進のための「マプート宣言」など、アフリカ諸国がこれまで採択してきた各種のイニシアティブに対する日本政府のコミットメントも記述されています。
しかし、この草案には、まだ不明確、不十分な箇所があり、最終的な成果文書として首脳たちが採択する前に解決される必要があります。
1. マクロ経済での成長が家計レベルでの貧困解消に結びついていないという問題が適切に認識されていません。貧困者への十分な配慮を欠いた現在の経済成長戦略がもたらす負の影響を適切に分析したうえ、その改善のための方策を行動計画に明記すべきです。また、貿易政策を貧困者に十分配慮したものにすることが不可欠です。
2. この観点から、貧困の解消に向けた、アフリカの民間セクターの役割について、宣言の中で強調されるべきです。さらに、日本政府は、民間セクターの活動が日本政府の貧困解消に向けたコミットメントと連携し相乗効果を上げるように、民間セクターとの協働を実行する必要があります。
3. 横浜宣言では市民社会の積極的な参加の必要性が明記されているにも関わらず、行動計画とフォローアップ・メカニズムに関する草案では、ユニセフが行う一事業を除き、明記されていません。フォローアップ・メカニズムの全ての機構及び制度に市民社会の参画を求めます。
4. 行動計画の附表には、英国など他国の政府や、国連機関(ユニセフ、ユネスコ等)、多国間機関からのコミットメントが含まれています。日本政府が、より広い枠組みの中で開発政策について取り組もうとしていることは喜ぶべきことです。しかし、TICADで何が新しく約束されたことと、これまでTICADプロセスの外部で約束されてきたことを区別し、TICADで何を実施するのかを明確にする必要があります。また、日本政府が行った約束のほとんどは、日本政府が普段から実施している援助方法の枠内にとどまっており、アフリカ諸国がMDGsの達成の為に行っている、資金見積もりのなされた適切な政策の実施を支援するものになっていません。
5. 適切なフォローアップを行うため、行動計画と附表で約束された事項を各国で実施するための枠組みが必要です。
6. 宣言では、アフリカ諸国における熟練した人材の育成と雇用の重要性が強調されていますが、こうした人材が都市に集中し、地方ではほとんど存在していないという問題、つまり都市・地方格差にとりくむことの重要性について明記されていません。
7. また、熟練した保健医療従事者の育成について言及されているものの、採用と雇用の継続について触れられていません。採用と雇用の継続がなければ、保険医療従事者の人材流出を防ぐことは出来ず、育成にかけた資金は無駄になってしまいます。
8. HIV/AIDSはアフリカにおける人間の安全保障の最大の脅威ですが、宣言・行動計画草案では、2010年までにエイズ治療・ケア・予防の普遍的アクセスを達成するという、合意された国際目標に対して日本がどう貢献するかについて言及されていません。サハラ以南アフリカは感染が広汎に存在する状況であり、ケアと治療は包括的対策に不可欠です。現在、エイズ治療に関して、目標と現実の間には大きな開きがあり、目標を達成するには緊急の行動が不可欠ですが、その必要性が無視されています。
9. 民主化については、平和構築の観点からのみ言及されています。しかし、最近の南アフリカ共和国での危機的状況は、マクロ経済成長によって自動的に平和や、富の再配分まで含めた民主主義の実現が保障されるわけではありません。日本政府は、平和定着、良き統治および民主化の支援において、貧困の解消と不平等の軽減が重要であることを強調し、これらの政策を統合的に実施する必要があります。
連絡先
TICAD IV・NGOネットワーク(TNnet)
(担 当)谷村 美能里(ワールド・ビジョン・ジャパン) 携帯 090-6537-8098
(事務局)
・住所:169-0051 新宿区西早稲田1-21-1早大西早稲田ビル7F
・電話:03-5286-8261
2008年G8サミットNGOフォーラム
(担 当)稲場 雅紀(アフリカ日本協議会) 携帯 090-1264-8110
(事務局)
・住所:169-0051 新宿区西早稲田2-3-18 アバコ5F
・電話: 3-5292-29101
ご列席の皆様、
第四回アフリカ開発会議は、産油国での紛争などを要因とする世界的な石油の不足・高騰のあおりを受けて食料価格の急騰が深刻化するさなかに開催されました。この食料危機をめぐって、地域レベルで始まった騒乱が大規模な抗議活動や紛争へと発展し、脆弱な国家では内戦へと帰結する可能性があります。TICAD IVにおいては、一般的な開発課題とあわせて、常にこの問題を念頭におく必要があります。
ミレニアム開発目標(MDGs)
ミレニアム開発目標(MDGs)は、社会開発によって貧困削減を実現するために根本的に何が必要かを明確に示しています。つまり、統計の上で示される経済成長のみでは、持続的な貧困削減は達成しえないということです。食料安全保障、教育、ジェンダー平等、母子保健、そしてHIV/エイズ・マラリア・結核などの疾病に関して、統合的な対策を取ることが必要です。そうしてはじめて、紛争の増幅と地域の不安定化を招き、開発の可能性を損なう貧困や絶望、苦難を軽減することができるのです。
「MDGsは達成できるのかどうか」などということは問題ではありません。今、私たちが問うているのは、先進諸国・アフリカ諸国政府がともにMDGsを達成するという強い政治的意思を持っているか否かです。加えて、昨日の議論にもあった通り、MDGs達成にあたって必要な資源・財源が圧倒的に不足しています。例えば、アフリカの多くの国々では、医師・看護師といった医療従事者が、頭脳流出によって、消えうせているのです。TICADプロセスが、こういった資源・財源の不足を解決するものになることを私たちは願っています。
人間開発には、投資しすぎるということはありません。アフリカでは現在、保健医療関連の原因によって年間800万人以上の命が奪われています。これは、受け入れがたいことです。MDGsへの投資は、いわば、アフリカ版の「マーシャル・プラン」だといえます。これが意味するのは、一定期間、開発支援を拡大して継続実施することで、持続可能な開発の基盤を整えるということなのです。
MDGsの達成は、市民社会の協力とパートナーシップなしでは決して実現できません。このパートナーシップは、相互への尊敬と助け合いに基づくものであることが必要です。市民社会の参画は形だけのものに終わってはなりません。市民社会は、戦略的に、全ての重要なプロセスに関与する必要があります。
昨日は、アフリカにおける民主化についての議論もなされました。民主化については、過去十数年間、前向きな動きがみられています。この十数年間で、選挙によって平和的に政権を移譲した元大統領は少なくとも12人に上ります。加えて、長期化していた紛争もいくつも解決しています。これらの前向きな動きは、民主化には以下のような要素が必要との認識を前提としたものです。その要素とは、民主主義の理念を理解・尊重する指導者の存在や、民主的な価値を保護・保証する政治機関、そして明確に定義された具体的な役割を果たす市民社会と国際社会のアクターなどを含むものです。
しかし、いくつかの進展が見られながらも、最近南アフリカ共和国で、移民を対象とした襲撃事件生じました。南アフリカ共和国は、比較的大きな経済力をもち、民主的な統治機構が整備され、高度に発展した国です。しかし、そうであったとしても、大きな所得格差と高い失業率、終わりのない貧困に人々が苦しむ社会においては、強固な民主主義の基盤もぐらりと揺らいでしまうことを示しています。
したがって、新興の民主主義国における課題は、民主的な編成に着手する際に、並行して富の再分配を原則とした開発を実現することです。富の再分配を原則とした開発なくして、アフリカに長期的な平和はありません。TICAD IVにおいて私たちは民主化を再び議題として、平和と開発と結び付ける必要があります。民主的で責任ある参加を促進するガバナンスに基づき、アフリカ諸国と各パートナーは、開発に関する課題を進展させることが求められます。
最近の食料危機について、昨日、極めて大きな懸念が示されました。食料危機の原因として、世界の食料消費パターンの変化や、途上国の農業セクターに関する構造的な問題による、原油や他のエネルギー価格の高騰などがあげられます。今回の食料危機によって、インフレや失業率の上昇、治安の悪化と社会騒動の増加などが引き起こされることが懸念されます。私たちは、何人ものアフリカ諸国の首脳から、食料危機によってアフリカがこれまで達成してきた経済開発や平和・安全保障の前進は、後退してしまう可能性があると聞きました。
中でも都会の貧困層は食料価格高騰の直撃を受け、食費がかさむために食事の数を減らさざるを得なくなっています。農村の貧困層も影響を受け、日用品や交通・通信費などの支払いが難しくなっています。HIV/エイズと共に生きる人々、結核・マラリア等の感染症の影響を受けている人々、女性・子どもなどが、食料価格高騰によって最も周縁化されています。
こうした状況において、開発のパートナーとしての市民社会の役割は何でしょうか?
市民社会は、自由の礎であり、政治における価値を推進し、社会正義や民主的な参加、グッド・ガバナンス、紛争解決の擁護者・提唱者です。市民社会は、民主的な体制への移行と強化のプロセスのそれぞれにおいて、重要な役割を果たしています。市民社会がこの役割を効果的に果たすためには、国家の干渉を受けず、自律的であること、また、その活動における方針と調整方法に関する規範を構築し、遵守することが必要です。市民社会には、市民が、自らの関心や懸念を国際社会に表明するチャンネルとしての役割もあります。市民社会は、国家に対して、その構造改革を促進し、社会的な公益をのばす政策を形成するように、市民社会から働きかけて、社会の変革に影響を与えてきました。一方、民主化プロセスにおける市民社会の役割は、外部資金への依存や、敵対的な政府、また、民族・宗教・ジェンダーに基づくバイアスによって妨げられることもあります。
今回の食料危機に際して、市民社会は、この危機に対処するために、国レベルでの取組みを促進するという、重要な貢献を行ってきました。市民社会は、食料危機の影響を受けたコミュニティに基盤を有しています。市民社会は、その独特の立場から、国家レベル、地域レベル、さらには世界レベルで調査、分析、政治への働きかけの分野で役割を担い、市民社会が信用に足り、能力のあるパートナーであるということを証明しました。私たちは、TICADプロセスにおいて、国家政府および地域機構が、市民社会にパートナーとして最大限の機会を提供することを、TICAD共同主催者に求めます。
昨日、アフリカ各国の首脳たちは、アフリカ開発のパートナーである日本政府、および開発に関わるパートナーたちを、貧困を解消し、大陸全体に民主主義を定着させることによって人間の安全保障を実現するための闘いに招待しました。これについて、TICADのプロセスに参加してきたアフリカと日本の市民社会は、アフリカが開発に関してかつて生じた問題に再び陥ることを避けるため、警告を発したいと思います。私たちの懸念は、近年経済発展が続く新興国家と、まだ経済発展を記録していない途上国との間で、債務問題が再び繰り返されることにならないか、という点です。
TICAD行動計画およびフォローアップ・メカニズムについて述べたいと思います。私たちは昨日、多くのアフリカ諸国の首脳たちから再三にわたってなされた、行動計画は包括的で期限の定められた、実施および評価の可能なものである必要がある、という要求に共鳴します。一方、既に配布されたフォローアップ・メカニズムに関する草案には、市民社会を開発パートナーの一つとして認めよう、などということが明記されていません。TICADプロセスの主催者たちが、市民社会の参画のための方法を見出そうとしていたことにかんがみ、私たちはTICAD共同主催者に対して、こうした政治状況をしっかりと調査し、市民社会のセッションのあり方について必要な変更を加え、また、このメカニズムを市民社会が活用できるよう求めることが大切です。
最後に、次回2013年に開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD V)について提言したいと思います。TICAD Vこそは、「人間中心の開発」を中心においた、国家政府、民間セクターと市民社会が、真のパートナーシップを組んだ形で開催されるフォーラムとなることが必要です。
以上
この声明に関する連絡先(日本人):
TICAD IV NGOネットワーク
» 谷村 美能里 (特活)ワールド・ビジョン・ジャパン 090-6537-8098
2008年G8サミットNGOフォーラム
» 稲場 雅紀 (特活)アフリカ日本協議会 090-1264-8110
15年間のTICADの歴史の中で、市民社会に与えられてきたスペースは、今回のTICADの「パス問題」に見られるように、極めて制限されたものであった。今回、 市民社会が「市民社会セッション」の開催を、TICADの歴史上初めて公式プログラムとして実現したことは小さな一歩であるが、確かな前進であった。
市民社会セッションは、インターネットで世界同時配信される中、アフリカ・国際・日本のNGO、日本政府代表、TICAD共催者である世界銀行、国連開発計画(UNDP)、アフリカ支援に取り組み自らもNGOを創設した世界的歌手のボノ(Bono)、ロール・バック・マラリアの親善大使を務める歌手イボンヌ・チャカチャカさんらが参加し、活発な意見交換を行った。
アフリカNGOからは、TICAD IVが経済成長を表面的に捉えるばかりで、経済成長の一方で深刻化している貧困や社会的格差・不公正が大多数のアフリカの人びとに及ぼしている負の影響を十分くみ取っていないことについて鋭い批判が相次いだ。特に、食料価格の高騰に端を発した暴動が、単に食料が足りないことへの抗議を超えた意味を持っており、アフリカ社会内部の格差が社会を不安定化させていることについて、いずれのアフリカNGOも強い危惧を表明した。経済成長の恩恵を貧困層の人々に再配分する早急な対策が必要であり、特にアフリカ人口で多くの割合をしめる、小規模農家やインフォーマル・セクター従事者への具体的な支援を求める声があがった。
アフリカにおける、貧困解決が進展を見せず、MDGs達成は絶望的と言わざるをえないという状況に加え、気候変動や食料価格高騰という新たなチャレンジに直面する中、TICADプロセスが日本のアフリカ援助は果たしてこれらの問題の根本的な解決に役に立っているか、という疑問が提示された。「TICADは誰のために、どのような成果を実現できるのか」という視点に立って、TICADをアフリカの開発のパラダイムシフトの機会とすることへの、期待が示された。
アフリカ市民社会の参加者からは、TICADがアフリカ政府を喜ばせるために開催されており、当事者であり最も中心となるべきアフリカの人びと(People of Africa)、特に最も弱い立場にある人々のためになっていないのではないか、という率直な声が聴かれた。TICADが人びとのためのTICAD(TICAD for the People / People’s TICAD)」になるためには、もはや政府だけがアフリカ開発のアクターではない、ということが再確認される必要がある。
「個人や人々のグループの積極的な活動が、インパクトをもたらす社会運動のためには欠かせない」と、ボノは述べた。世界銀行アフリカ地域業務戦略担当部長のハートウィッグ・シャファー氏からも、「問題のただ中にある人々の真実な声が社会運動のうねりを後押ししてきた。市民社会は、人々の声を政策決定に反映し、また、政策レベルで約束された政策を実施している。政策議論に、市民社会の意見を取り入れていくことは、もはや常識であり不可欠だ。」と、市民社会が果たす役割の重要性について述べた。さらに、国連開発計画のティエルノ・ケーン氏が、「アフリカの市民社会は、コミュニティの開発を支え、人々の連帯を促すために草の根で活動するグループをさらに強化していくべきだ」という発言があった。これらの発言は、すべて、第1回TICADで議長をつとめた黒河内康氏による「元気なアフリカは、元気なアフリカの人々、元気な市民社会にかかっている」という開会挨拶に同調するものであった。
ボノは、既存の公約を守る重要性に触れ、「アフリカ開発のパラダイムシフトは、日本を含めG8各国が、債務免除や、ODAの大幅な増額を公約した時に、既に始まっている。約束が実施されることが大切だ」と述べた。
民主的に選出され、人々に信頼されているならば、政府は確かに人々の利益を代弁する。残念ながら全ての国がそうではないことにかんがみ、市民社会の役割は重要である。市民社会が、アフリカの開発の議題設定、成果文書の作成、実施、モニタリングと評価の全てのプロセスに参画することが不可欠である。
アフリカと日本の市民社会は、外務省参事官廣木氏による、「日本は約束を守る国。私たちはこの場で、市民社会と緊密に協働していくことを約束する」というコメントを、大きな期待をもって受け止めている。
連絡先
TICAD IV・NGOネットワーク(TNnet)
(担 当)谷村 美能里(ワールド・ビジョン・ジャパン) 携帯 090-6537-8098
(担 当)山田 真理子(TICAD市民社会フォーラム) 携帯 090-9623-5205
(事務局)・住所:169-0051 新宿区西早稲田1-21-1早大西早稲田ビル7F
・電話:03-5286-8261
TICAD IV終了直後NGO記者会見
日時: 2008年5月30日(金) 午後3時~4時
(言語:英語 *日本語・仏語の質問には逐次で対応いたします)
場所: (財)フォーリン・プレス・センター記者会見室
千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル6階
TEL: 03-3501-3401 http://fpcj.jp/
アクセス:日比谷線 丸ノ内線・千代田線 霞ヶ関駅C4、都営三田線内幸町駅A6出口
2008年5月30日、横浜 - 今回の第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)を通じて日本およびアフリカ各国が抱える課題が繰り返し明らかになりました。それは、指導力と行動の欠如です。市民社会は、アフリカの貧困問題の解決につながる各国の行動と説明責任を求め続けます。アフリカ向け援助の倍増は正しい方向への一歩として歓迎すべきです。しかしながら、日本が今回示した全体的なコミットメントは、期待を裏切るものであったと言わざるを得ません。GNI比0.7%をODAに振り分けるとする目標の達成は、G8がいまだ果たしていない約束の履行において、日本が指導性を発揮するにあたって、自ら避けてはいけない目標です。
アフリカで頭をもたげつつある破滅的な食料危機は、緊急の行動と長期的な対策の両方を必要としています。つまり、貧しい人々の苦難を緩和し、援助と貿易ルールの公正化によって、この危機の原因となっている構造的要因を取り除くことです。また、先物穀物市場への投機マネーの流入や、バリュー・チェーンにおける巨大アグリビジネスの支配を抑えるといったことも必要です。これらの行動なくしては、アフリカが再び紛争に陥り、人命が喪失され、TICAD IVがこれまで目指してきた開発への前進も失われかねません。
TICAD IV NGOネットワーク(TNnet)の冨田沓子
「経済成長を追求するとしても、それは貧困削減のアジェンダが主導し、2015年までにミレニアム開発目標を達成するための具体的行動に裏打ちされたものでなければなりません」。
社会的正義と平等を伴わない成長は持続的ではありません。現在、多くの人々(特に女性や少女)が貧しい状態であり、社会的に排除され、脆弱な立場に追いやられています。TICAD IVは技術的な問題だけでなく、貧困層が裨益するよう、政治的意思を確立し、説明責任に対して積極的であるべきです。インフラ開発を追求する際には、本当に現地コミュニティや地域内の開発ニーズにこたえるものである必要があります。
TICAD IV行動計画は、人間の尊厳、平和、よい統治(グッド・ガバナンス)および民主主義をその中心的な課題に据える必要があります。民主主義と人間の安全保障はアフリカ大陸において、未だ脆弱な平和を強固なものにしていく上で、また貧困を削減し、成長を実現するうえでも、最も重要な基準となります。アフリカが「慈善と援助」から「貿易と開発」に移行するためには、絶対的貧困を終わらせ、平等で、参加型かつ民主的なガバナンス制度を国家と国際社会のレベルにおいて確立するというコミットメントに基づく新しいパートナーシップを必要とします。
気候変動について、市民社会は平等と正義に基づいた対策を求めます。温室効果ガス排出国が自国の排出による影響への対策を強化する必要があります。日本がTICADIVを通して先進諸国を主導し、クール・アースを現実のものとするためには、日本自身が積極的な中期的排出削減目標を掲げる必要があります。これなくしては、いかなる適応努力も失敗に終わります。適応には、既存のODA目標に対して追加的な資金が提供される必要があります。TICAD IVで日本が誇らしげに示した巨額の支援策も、アフリカ向けのものは微々たるものにとどまっており、日本の責任に応じた額に比べて大きく下回っているため、失望をもたらしています。市民社会はまた、気候変動対策資金に借款を活用することは貧しい人々を二重に苦しめることになるため、明確な反対の意思を表明します。また、いかなる適応資金も、影響を受ける国々の参画を確保するために、国連の適応基金を通じて拠出されるべきであり、ドナー主導の新たなメカニズムであってはなりません。
アフリカはこれまで、大きな前進を成し遂げてきましたが、まだ十分ではありません。アフリカの政府はTICAD IVにおいて、アフリカが絶対的貧困から解放され、MDGsを達成するという共通のビジョンを持ち、自らのコミットメントを果たさなければなりません。アフリカ連合とそのメカニズムを活用した、大陸レベルでの共同行動が不可欠です。アフリカ諸国政府は、6月のAUサミットにおいて、TICAD IVで示された機会を展望に基づいて行動へのコミットメントを交わす必要があります。その際に、市場を機能させるための良好な環境整備と、人権と社会正義の実現のバランスをとる必要があります。また、官民連携が貧困層にとって利益をもたらすよう、アフリカ諸国政府がビジョンと指導力を発揮しなければなりません。
アフリカ市民委員会 ギュスターブ・アサー
「日本とアフリカの政府は、TICAD IVフォローアップ・メカニズムにおいて市民社会に明確で機構的な役割を与え、市民社会の参画に対するコミットメントを実現することが求められます。市民社会参画を保障することは、TICAD IVプロセスの説明責任を強化する上で中心的な役割を担います」。
以上
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