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TICAD IVにおける アフリカ・日本・国際市民社会の声明

ご列席の皆様、
第四回アフリカ開発会議は、産油国での紛争などを要因とする世界的な石油の不足・高騰のあおりを受けて食料価格の急騰が深刻化するさなかに開催されました。この食料危機をめぐって、地域レベルで始まった騒乱が大規模な抗議活動や紛争へと発展し、脆弱な国家では内戦へと帰結する可能性があります。TICAD IVにおいては、一般的な開発課題とあわせて、常にこの問題を念頭におく必要があります。

ミレニアム開発目標(MDGs)

ミレニアム開発目標(MDGs)は、社会開発によって貧困削減を実現するために根本的に何が必要かを明確に示しています。つまり、統計の上で示される経済成長のみでは、持続的な貧困削減は達成しえないということです。食料安全保障、教育、ジェンダー平等、母子保健、そしてHIV/エイズ・マラリア・結核などの疾病に関して、統合的な対策を取ることが必要です。そうしてはじめて、紛争の増幅と地域の不安定化を招き、開発の可能性を損なう貧困や絶望、苦難を軽減することができるのです。

「MDGsは達成できるのかどうか」などということは問題ではありません。今、私たちが問うているのは、先進諸国・アフリカ諸国政府がともにMDGsを達成するという強い政治的意思を持っているか否かです。加えて、昨日の議論にもあった通り、MDGs達成にあたって必要な資源・財源が圧倒的に不足しています。例えば、アフリカの多くの国々では、医師・看護師といった医療従事者が、頭脳流出によって、消えうせているのです。TICADプロセスが、こういった資源・財源の不足を解決するものになることを私たちは願っています。

人間開発には、投資しすぎるということはありません。アフリカでは現在、保健医療関連の原因によって年間800万人以上の命が奪われています。これは、受け入れがたいことです。MDGsへの投資は、いわば、アフリカ版の「マーシャル・プラン」だといえます。これが意味するのは、一定期間、開発支援を拡大して継続実施することで、持続可能な開発の基盤を整えるということなのです。

MDGsの達成は、市民社会の協力とパートナーシップなしでは決して実現できません。このパートナーシップは、相互への尊敬と助け合いに基づくものであることが必要です。市民社会の参画は形だけのものに終わってはなりません。市民社会は、戦略的に、全ての重要なプロセスに関与する必要があります。

昨日は、アフリカにおける民主化についての議論もなされました。民主化については、過去十数年間、前向きな動きがみられています。この十数年間で、選挙によって平和的に政権を移譲した元大統領は少なくとも12人に上ります。加えて、長期化していた紛争もいくつも解決しています。これらの前向きな動きは、民主化には以下のような要素が必要との認識を前提としたものです。その要素とは、民主主義の理念を理解・尊重する指導者の存在や、民主的な価値を保護・保証する政治機関、そして明確に定義された具体的な役割を果たす市民社会と国際社会のアクターなどを含むものです。

しかし、いくつかの進展が見られながらも、最近南アフリカ共和国で、移民を対象とした襲撃事件生じました。南アフリカ共和国は、比較的大きな経済力をもち、民主的な統治機構が整備され、高度に発展した国です。しかし、そうであったとしても、大きな所得格差と高い失業率、終わりのない貧困に人々が苦しむ社会においては、強固な民主主義の基盤もぐらりと揺らいでしまうことを示しています。

したがって、新興の民主主義国における課題は、民主的な編成に着手する際に、並行して富の再分配を原則とした開発を実現することです。富の再分配を原則とした開発なくして、アフリカに長期的な平和はありません。TICAD IVにおいて私たちは民主化を再び議題として、平和と開発と結び付ける必要があります。民主的で責任ある参加を促進するガバナンスに基づき、アフリカ諸国と各パートナーは、開発に関する課題を進展させることが求められます。

最近の食料危機について、昨日、極めて大きな懸念が示されました。食料危機の原因として、世界の食料消費パターンの変化や、途上国の農業セクターに関する構造的な問題による、原油や他のエネルギー価格の高騰などがあげられます。今回の食料危機によって、インフレや失業率の上昇、治安の悪化と社会騒動の増加などが引き起こされることが懸念されます。私たちは、何人ものアフリカ諸国の首脳から、食料危機によってアフリカがこれまで達成してきた経済開発や平和・安全保障の前進は、後退してしまう可能性があると聞きました。

中でも都会の貧困層は食料価格高騰の直撃を受け、食費がかさむために食事の数を減らさざるを得なくなっています。農村の貧困層も影響を受け、日用品や交通・通信費などの支払いが難しくなっています。HIV/エイズと共に生きる人々、結核・マラリア等の感染症の影響を受けている人々、女性・子どもなどが、食料価格高騰によって最も周縁化されています。

こうした状況において、開発のパートナーとしての市民社会の役割は何でしょうか?

市民社会は、自由の礎であり、政治における価値を推進し、社会正義や民主的な参加、グッド・ガバナンス、紛争解決の擁護者・提唱者です。市民社会は、民主的な体制への移行と強化のプロセスのそれぞれにおいて、重要な役割を果たしています。市民社会がこの役割を効果的に果たすためには、国家の干渉を受けず、自律的であること、また、その活動における方針と調整方法に関する規範を構築し、遵守することが必要です。市民社会には、市民が、自らの関心や懸念を国際社会に表明するチャンネルとしての役割もあります。市民社会は、国家に対して、その構造改革を促進し、社会的な公益をのばす政策を形成するように、市民社会から働きかけて、社会の変革に影響を与えてきました。一方、民主化プロセスにおける市民社会の役割は、外部資金への依存や、敵対的な政府、また、民族・宗教・ジェンダーに基づくバイアスによって妨げられることもあります。

今回の食料危機に際して、市民社会は、この危機に対処するために、国レベルでの取組みを促進するという、重要な貢献を行ってきました。市民社会は、食料危機の影響を受けたコミュニティに基盤を有しています。市民社会は、その独特の立場から、国家レベル、地域レベル、さらには世界レベルで調査、分析、政治への働きかけの分野で役割を担い、市民社会が信用に足り、能力のあるパートナーであるということを証明しました。私たちは、TICADプロセスにおいて、国家政府および地域機構が、市民社会にパートナーとして最大限の機会を提供することを、TICAD共同主催者に求めます。
昨日、アフリカ各国の首脳たちは、アフリカ開発のパートナーである日本政府、および開発に関わるパートナーたちを、貧困を解消し、大陸全体に民主主義を定着させることによって人間の安全保障を実現するための闘いに招待しました。これについて、TICADのプロセスに参加してきたアフリカと日本の市民社会は、アフリカが開発に関してかつて生じた問題に再び陥ることを避けるため、警告を発したいと思います。私たちの懸念は、近年経済発展が続く新興国家と、まだ経済発展を記録していない途上国との間で、債務問題が再び繰り返されることにならないか、という点です。

TICAD行動計画およびフォローアップ・メカニズムについて述べたいと思います。私たちは昨日、多くのアフリカ諸国の首脳たちから再三にわたってなされた、行動計画は包括的で期限の定められた、実施および評価の可能なものである必要がある、という要求に共鳴します。一方、既に配布されたフォローアップ・メカニズムに関する草案には、市民社会を開発パートナーの一つとして認めよう、などということが明記されていません。TICADプロセスの主催者たちが、市民社会の参画のための方法を見出そうとしていたことにかんがみ、私たちはTICAD共同主催者に対して、こうした政治状況をしっかりと調査し、市民社会のセッションのあり方について必要な変更を加え、また、このメカニズムを市民社会が活用できるよう求めることが大切です。

最後に、次回2013年に開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD V)について提言したいと思います。TICAD Vこそは、「人間中心の開発」を中心においた、国家政府、民間セクターと市民社会が、真のパートナーシップを組んだ形で開催されるフォーラムとなることが必要です。

以上

この声明に関する連絡先(日本人):

TICAD IV NGOネットワーク 
» 谷村 美能里 (特活)ワールド・ビジョン・ジャパン 090-6537-8098

2008年G8サミットNGOフォーラム
» 稲場 雅紀 (特活)アフリカ日本協議会 090-1264-8110

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2008年05月29日 17:14に投稿されたエントリーのページです。

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