TICAD IVへ向けたアフリカ及び日本の市民社会の声
TICAD IVへ向けたアフリカ及び日本の市民社会の声
前文
私たち、アフリカ、日本及びその他のアジアの市民社会団体は、2007年10月24日から26日にかけ東京・広尾で協議を行い、以下について合意した。
私たちは、アフリカが平均して上向きの経済成長を見せていると承知しているものの、その発展はまだアフリカのすべての人々の十分な利益として還元されていないと受け止めている。
私たちは、アフリカの人々と社会が、不公正な貿易、社会的不平等、債務負担の結果として貧困の重荷を背負っていると考えている。
そして、アフリカの人々と社会は、未だに政治と統治の課題、紛争、環境劣化、気候変動、さらに女性、地元住民、異なる心身能力を持つ人々(心身障害者)、HIV/AIDS感染者・患者などの社会的疎外に悩んでいと承知する。
アフリカ大陸における市民社会団体の組織的キャパシティは、継続的に強化される必要があると認める。
多大な努力がなされたにも関わらず、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成の前には深刻な財政的問題がある。
連帯、平等、相互責務、責任の精神の元で共同して活動することにより、私たちはこの情勢を改善する決意である。
そこで私たちは、アフリカ開発会議(TICAD)とそのステークホルダーに対して、単なる政策提案と表明から、関与するすべてのステークホルダーの誠実で平等なパートナーシップにおける、行動に基づくアプローチへ早急に移行するよう懇願するとともに、私たちの具体的な提案と実行可能な提言を示す。
以下の重要な観点に従う。
1- 人間中心、オーナーシップとボトムアップ・アプローチ
2- 持続的なインパクトのためのコミュニティのエンパワメント
3- 政府と市民社会団体(CSO)のキャパシティ強化
4- TICADプロセスを通じたCSOの平等なパートナーとしての関与
1. 投資と経済開発
要旨
現在のアフリカにおける上向きの経済成長は、アフリカを投資先として発展させた。またアフリカの発展は開発努力が大陸において身を結んでいる表れである。このような上向きの発展は、以下に概要を述べるような外的・内的要因の結果である。
内的要因
民主主義の新興
平和と安全の向上
慎重な経済政策
外的要因
ODA支援
民間主導の投資
新しい原材料権益を誘因とする資本流入の増加
しかし、上向きの経済発展は、以下に述べる阻害要因に取り組まない限りスピードが鈍くなり完全に停滞してしまう可能性もある。
アフリカの経済成長における阻害要因
成長は、人々中心でも貧困層中心でもなかった。
例えば、都市部と農村部のコミュニティにおいてなど、現在の成長はジェンダーと収入の差異をある程度まで拡大させてしまった。
経済成長は、人間開発と平行して進んでいなかった。
農業補助金やその他の関税障壁・非関税障壁など、アフリカの生産物の競争力を奪う不利な国際貿易手段が成長を鈍くした。
汚職
アフリカの経済成長実績の誘因となり、衝撃をやわらげ成長を強化すると期待されているODAは、これらの期待に応えることができていない:
-ODAは、次第に減少している。例えば、TICAD IとTICAD IIIの間、日本のODAは不安定かつ継続的に減少している。
-さらに、ODAは制限条件に束縛される傾向にあり、そのため政府が特定の開発課題に対処するための柔軟性が十分ではない。
-最終的にODAは、アフリカ政府や人々が主張する貧困削減などの実際的な問題よりも、外的・OECDの利益優先になっている。
-アフリカの多くの国が債務の束縛から解放されるために苦闘し、ODAはそのための重要な役割を担うことが期待されているにもかかわらず、ODAは主に有償の形で実施しされている。矛盾していることに、そのようなODAはグレンイーグルスG8サミットに則った債務免除に逆行している。債務の重責は徐々にHIPCへ戻っている。
-TICADは、世界的な開発アジェンダの中でアフリカ開発に焦点を当て続ける数少ない積極的な介入であるが、その影響力は非常に限られている。
提言:
(a) 投資と持続的な経済開発
2015年までにODAのGNI比0.7%まで増加させるための明確な一里塚を立てる。
日本のODAの中で、無償援助の割合を増加し、有償援助の割合を削減していく。
ODAがパリ宣言の精神と意図に沿うよう保証する。
汚職に対抗する一致団結した努力。
(b) 公正な貿易
アフリカ内貿易を振興させ、特に人々とモノの国境を越えた貿易活動をしやすくするために、RECsとAUの発展を促進させる。
地元投資家および日本の投資インセンティブを拡大し、アフリカ人貿易業者のための特恵貿易条件の設定を通じて利益を還元していく。
行き詰ったドーハ交渉で挙げられたような補助金や安価な製品のダンピングなどのアフリカの問題に対処する。
アフリカにおける起業活動開発、特にアフリカの事業開発と資本蓄積を支援する。
(c) 地元女性及び男性の経済成長への参加と経済成長による利益
貧困層の小規模起業と貯蓄を促進する機関への資金拠出を増加する。
貧困層のための農村インフラに投資する。
移住と税金に関する規制を緩和・効率化することにより、アフリカ人ディアスポラが資金をアフリカに自由に送金することができるようなキャパシティ強化をする。
国内・国際政策アジェンダ設定におけるCSOの役割を増加させる。
(d) 人々の生活の中に経済成長を目に見える形で反映させる
・ 基本的ニーズの供給(貧困削減のための基本的なステップ)
・ インフラ開発においては、社会的及び生活ニーズとともに、広範な経済的考慮を反映させるべきである。
・ 人々の生産能力の強化。
・ 社会的な歪みを指摘し正す。
2. 人間の安全保障
要旨
人間の安全保障は、経済成長・投資・環境と持続的人間開発に全面的にリンクしている。さらに、人間の安全保障は国家の安全保障と密接に結びついており、人権と人間の尊厳に基づいている。人権の世界的かつ不可分な意味は、社会的・経済的・文化的・政治的・公共および情報格差問題等の側面を持つ基本的人権に基づいている。
人間の尊厳は、基本的人権が保障された場合のみ達成できる。
提言
・ 予防衛生と母子保健の基本的保健サービス、HIV/AIDSの撲滅。
・ すべての人々の適正な住居と職業。
・ すべての差別と犯罪、性的・家庭内暴力の撲滅。
・ ジェンダーのバランスが取れたサービス提供の保障と、主に支援を必要としている農村部におけるキャパシティビルディングを通じた女性のエンパワメント。
・ 積極的差別と差別是正措置(アファーマティブアクション)を通じた、マイノリティ・グループと障害者・高齢者・子ども・女性などの脆弱なグループの保護。
・ 国際ドナーは、対象者や草の根の人々への支援の計画・実施・評価段階において、市民社会を関与させるべきである。
・ 市民社会は、政府と共に活動し人々や草の根の声を代表すべきである。
・ 国際的援助は、さらなる損害を加えるものであってはならない。
・ TICADにおける市民社会の役割は、平等なパートナーとするべきである。
3. 環境
要旨
アフリカは現在、以下のような環境要因に直面している。
農業・漁業・林業・水産など資源の枯渇
砂漠化
大気・水質汚染
土壌劣化
生物多様性の減少
洪水を含む自然災害
とりわけ、環境問題は以下に起因している。
人口圧力
気候変動
武力紛争
遺伝子組み換え作物などの不適切な技術
経済成長のみを重視した政府政策
汚職
政府とCSOの不十分なキャパシティ
先進国による天然資源搾取の圧力
提言
(a) アフリカ各国の政府
貧困削減と効果的な家族計画のための政府政策の強化。
すべての政府政策における環境問題の主流化。
環境管理における政府とCSOのキャパシティ強化。
環境保全に関する地元・伝統的知識の再発見と採用。
遺伝子組み換え作物問題を提起する政策の制定と実施。
汚職対策の強化と政府の透明性・説明責任の向上。
(b) 国際社会
貿易と投資における環境問題の主流化と遺伝子組み換え技術問題の提起。
貧困削減と環境上持続可能な開発を重視した政府開発援助(ODA)の再設定。
最貧国の債務免除とODAにおける無償部分の増加。
(c) TICAD
アフリカの政府およびCSOの組織的・資金的・技術的キャパシティの強化。
アフリカにおける原材料と付加価値製品の生産増加。
遺伝子組み換え作物の問題に配慮しつつ、環境資源の活用のための革新的かつ適正な技術やメカニズムの支援増加。
貧困層と脆弱なグループのための支援と生態系回復(森林再生、クリーン開発メカニズム)を通じた温室効果ガス排出軽減と適応性向上。
すべての国をTICADの支援に動員する。
(d) G8
すべてのG8諸国および他の国々は、京都議定書に基づいた温室効果ガスの排出軽減目標を達成しなくてはならない。
京都議定書を批准していない米国及びオーストラリアは、京都議定書のコミットメントを実施するために他の批准国に倣って早急に批准することが求められている。
京都議定書を越えた気候変動の緩和と気候変動への適応のための、すべての国を関与させた実現可能な世界的メカニズムの調査。