小峯 茂嗣 元・ACT2003(Action Civile pour TICAD III)代表世話人 アフリカ平和再建委員会(ARC-JAPAN)運営委員 早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター客員講師
1. 「TICADはFoggyである」 これはTICAD IIIに参加したアフリカNGO参加者の言葉である。このことはTICADが何を目指す会議なのかという議論がTICAD プロセスが始まった頃から行われていたことを象徴している。外務省アフリカ2課の植澤課長がTICADの意義について話されたが、TICADはそれ以上でもそれ以下でもなく、ではそこから何を目指すか?という議論が必要なのではないかと考える。 2. グローバル・イシューとしての「アフリカ」 そのことを考える上で、私が個人的に印象深かったキーワードが、「グローバル・イシューとしてのアフリカ」という表現である。これは「アフリカ」が、「環境」や「貧困」などと並ぶ地球規模の問題であると言うことである。その言葉の中身はまだあいまいな感じがするが、これを追求することもまた、ひとつの意義ではないかと思う。 では世界の中のアフリカの位置のありようは何であろうか?このことはもちろんアフリカの人々が主体的に考えることであるが、同時にグローバル・イシューを分かち合うわれわれ一人ひとりが考えることでもある。 私はアフリカ平和再建委員会というNGOで活動してきた。アフリカの紛争と平和構築の問題を扱っている。私のNGO経験を通じたひとつの視点をお伝えしたい。 いわゆる9.11以来、世界はグローバル・テロリズムの時代に突入した。これは国家に属さない暴力が、国境を超え、ついには超大国までも脅かすという時代になっていることを意味している。現在に「テロとの戦い」は、どちらかと言えば表面的な病巣をたたいているのと同じである。しかしテロの根っこについて思考をめぐらすとき、アフリカの貧困や不完全な統治は、この問題を考え、解決する上で重要なカギではないかと思うようになった。 第1に、国際テロ組織の活動拠点となるおそれである。現にアフガン攻撃の後、アルカイダの更なる拠点として名指しされたのが、内戦によって全土が実行統治されていないソマリアである。アフリカの破綻国家の問題については、このようにテロ組織の拠点になる可能性があるという観点が重要であると考える。 第2に、国際テロ活動への動員の可能性である。貧困をはじめ、人を暴力に容易に動員しやすい環境は、潜在的な危険をはらんでいることはいうまでもない。 第3に、軍事転用可能な資源の違法取引の問題がある。アフリカは金やダイヤモンドなどの換金可能な地下資源が豊富にある。これらは紛争当事者の軍事資金になりえる。またウランなどの核物質が国際テロ組織に売却される可能性も十分ある。現にイラク攻撃の直前に、ニジェールからイラクに核物質が取引されたという疑惑が持ち上がった。これは事実とは異なったが、将来の可能性は否定できない。 第4に、国際テロ組織の資金源の問題がある。マネーロンダリングなどが行われる場となる可能性は多い。 3. 市民社会による行動への提言:TICADは個別分野を深める会議にはなり得ない 良かれ悪しかれ、TICADは、「ありよう」を考える会議であり、これからもそうであろう。TICAD IIIの時のACT2003は、個別分野への提言に重点を置いたが、今後は、たとえばガバナンスなどがあげられる。狭い意味のガバナンスは、行政機構への支援などの狭い意味で捕らえられがちであるが、政府、市場、市民社会の三極で考えていくことが重要ではないか。 もちろん個別分野の課題は多くある。したがって、個別分野の会議(環境、人口、エイズなど)の場に積極的に参加し、TCSFとして、アフリカの考え、視点を強調すべきであると考える。 以上