TICAD IV(第4回アフリカ開発会議)「横浜宣言」及び「行動計画」に対する市民社会からの緊急要望


「横浜宣言」に対する市民社会からのコメント (英語、PDF)
「行動計画」への市民社会からの対案 (英語、PDF)
緊急要望の全文(日本語、PDF)
緊急要望の全文(英語、PDF)


  ※緊急要望は下記にも記載しています。
    1.「横浜宣言」について
    2.「行動計画」について

                      (2008年4月23日)

TICAD IV・NGOネットワーク(TNnet)、2008年G8サミットNGOフォーラム


本年、アフリカに関わる二つの大きな国際会議を日本政府がホストされることに賛辞を表します。その準備にまさに奔走されている時期の要望となりますが、TICADとG8サミットに関わる二つの日本のNGO連合は、ガボンでの閣僚級準備会合以来、TICAD IVがアフリカ社会及び世界へ与えうるネガティブな影響を憂慮し、以下の通り緊急の要望を提出させていただきます。日本政府の国際的リーダーシップに期待し、横浜宣言及び行動計画に反映するようお願い申し上げます。

1.「横浜宣言」について

(1)MDGs達成をすべての前提にしてください
2008年は、日本を含む世界が2015年までに実現すると約束した「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」の折り返し地点を1年過ぎています。しかし、中間評価では、アフリカ地域における貧困者数は微減(45.9%から41.1%に減少)したに過ぎないことが明らかとなりました。今まで以上の努力が世界に求められており、アフリカ開発を主題とするTICAD IVと洞爺湖サミットを主催する日本政府の役割に大きな注目が集まっています。
【問題点】TICAD閣僚級準備会議最終日に発表された草案の前文からは、当初書き込まれていた「MDGs達成のチャレンジ」が削除されている上に、コミットメントに関する記述は皆無です。これでは、会議を主催する日本政府がMDGs達成という国際公約に背を向けているだけでなく、後退させようとしているというメッセージを発信することになります。
【改善要望】宣言前文及びTICAD IVの前提として、世界が約束したMDGsを達成するためのチャレンジに立ち向かっていく重要性と決意を、文面で一層明示してください。



(2)民主化について取り上げてください
アフリカの民主化は確実に前進してきているものの、選挙をめぐる混乱や暴力的衝突が目立つようになっています。また、アフリカにおける現状の経済成長は、資源価格の高騰に見られるように、国家権力に近い一部の人を富ませ、腐敗と社会的・経済的な格差を生み、社会不安につながっています。TICAD IVの議題から民主化を落としてしまった日本の外交姿勢が、今切実に問われています。
【問題点】昨年ルサカ(10月)、チュニス(11月)で開催されたTICAD地域準備会合では、「民主化の促進」は、「平和の定着」と並びTICAD IVの重要な議題となっていました。民主化促進の重要性はODA大綱にも書かれているほか、外交青書2008にも「民主主義外交の強化」が謳われています。アフリカ連合制定法にも民主主義原則が掲げられています。にもかかわらず、閣僚級準備会議の準備過程で、「民主化の促進」は議題から取り除かれました。
【改善要望】「民主化の促進」をTICAD IVの議題に戻し、日本政府として民主化促進(自由で公正な選挙の実施促進を含む)への断固たる決意を表すメッセージを、アフリカ政府と民衆に届けてください。



(3)市民社会の参画の重要性を明記してください
政府セクターに十分な力量のないサハラ以南アフリカ地域においては、各国政府やアフリカ連合、アフリカの地域経済共同体等の多くは、積極的にNGO・市民社会を開発パートナーとして受け入れ、政策形成の段階から、市民社会の参画を保障しています。また、経済成長の果実を分配する仕組みが十分に備わっていないアフリカ諸国において、経済成長を貧困削減に結びつけるためには、社会開発を強力に推し進めるセクターである市民社会を強化することが不可欠です。
アフリカのこうした政治的現状の中で、経済成長の果実を貧困者に届かせるためにも、また中長期的な見通しを持った外交関係を構築するためにも、アフリカ市民社会のオーナーシップの尊重が不可欠です。
【問題点1】アフリカにおける民主化は、厳しい状況下にあるものの、一歩一歩着実に進展しています。民主化への力強いコミットメントは、長期的な視点からは、アフリカと日本の持続的な友好関係の強化において極めて重要です。アフリカ市民社会からは、長期的な視点を十分に反映していない日本の外交姿勢について懸念と疑問が投げかけられています。また、「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」は、市民社会の重要性を繰り返し述べています(基本文書45項)。
過去3回のTICADには、共催者としてアフリカ市民社会関係者(Global Coalition for Africa: GCA)も含まれていました。しかし、今回のTICAD IVでは、政府首脳同士の交流が主たる目的となりつつあり、焦眉の課題となっている以上の問題を隠し、アフリカ開発や民主化促進の議論に害すら及ぼしかねない状況です。TICADを「中国アフリカ協力フォーラム」型の会議(日本政府とアフリカ諸国の既存の政権との二国間の短期的な関係強化のみを重点化する会議)に転換させることは、日本がアフリカ・世界に対して果たしてすべきことなのか、再考が不可欠です。
【改善要望1】アフリカ社会の当事者としてのアフリカ市民社会の役割の重要性を認知し、市民社会のTICADプロセスへの参画を明記してください。

【問題点2】日本とアフリカの協力・交流において、日本とアフリカのNGOは日常的・恒常的に非常に重要な役割を果たしており、日本・アフリカ間の関係構築における不可欠なパートナーです。しかし、市民社会の参画の重要性が宣言の中では認識されておりません。
【改善要望2】開発・モニタリング・民主化・外交のすべての局面での市民社会の重要性と、政府と対等なパートナーとしての参画の必要性を明記してください。

(4)前文に以下の視点を含めてください
@女性、若者、子ども、障害者といった、アフリカ社会において周辺化されがちな人びとへの配慮と主流化を明記する。
A前文から三大感染症のうち「マラリア・結核」が削除されていたため、HIV/エイズと共に明記する。

*前文から三大感染症のうち「マラリア・結核」が削除されていました。HIV/エイズ、マラリア、結核は相互に関連しあいながらも、それぞれ異なった疾病として、アフリカの人々を困窮に追いやっており、三大感染症をHIV/エイズのみで代表させることはできません。三大感染症それぞれの名称を明記することが必要です。

【*詳しくは、市民社会による「横浜宣言」の対案(英語)をご覧ください】

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2.「行動計画」について

TICAD IV行動計画案に関しては、以下の事項を提案します。


T. 経済成長
日本を含む国際社会が2000年に合意した国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成を果たすために、経済成長は目的ではなく、貧困削減の道具(ツール)であるという前提を確認し、2015年までにアフリカの貧困を半減するためのすべての努力を実行する。

(1)食料・農業
2015年までに飢餓人口を半減させるというMDGsの目標達成を前提に、すでに食料価格高騰の影響を最も受けている地域に対し、先進国・国際機関と連帯し、緊急食料援助を無償で増額する。食料援助は、地域の農業の弱体化を防ぐため、物資ではなく、資金の提供により行う。同時に、長期的な食料需給問題解決のため、小規模農家に対する農業支援増加計画を打ち出す。バイオ燃料政策の形成に当たっては、アフリカ貧困者の食料安全保障に配慮した国際的な認証制度導入や政策を打ち出す。

(2)貿易
WTOドーハ開発ラウンドの交渉を、「途上国の開発利益を中心に据える」としたドーハ宣言の精神に則って進める。先進国による貿易歪曲的な農業補助政策を改めると同時に、ドーハの大前提である「特別かつ差異ある待遇」の原則を農業、非農産品、サービスのすべての分野において徹底し、市場開放と自由化に関する途上国自身の決定権を尊重する。



U. MDGsの達成
(1)教育
2000年「万人のための教育」(EFA)ダカール宣言を再確認し、EFAの実現に真剣にコミットしている政府に、必要な資金を提供する。サハラ以南アフリカにおけるEFA国際目標の達成のための資金不足分について、G8諸国の豊かさに応じて公平に分担するための、基礎教育援助額の増額を表明する。
教員給与、教科書代といった基礎教育セクターの経常経費支援を拡大し、長期間にわたって安定した資金拠出を保障する。とくに、サハラ以南のアフリカで400万人の教員を新たに確保する。長期的に相当額の安定した援助を行うことを保障すること、紛争後国・低所得国の重視、EFA達成の障害である児童労働の廃絶への取り組みへのコミットメントを表明する。

(2)保健
@保健・医療システム強化
アフリカ諸国および他の先進国・国際機関と連携して、アフリカ地域および各国の保健医療従事者の人員を増員するための計画の形成および実施を、保健医療従事者の雇用を含めて支援する。現在、サハラ以南アフリカにおいて緊急に必要な保健医療従事者100万人の増員を実現する。
A母子保健、リプロダクティブ・ヘルス
アフリカ諸国の「マプート計画」および「乳幼児の生存のためのアフリカ戦略枠組み」の実現を目指し、2013年までに、アフリカでリプロダクティブ・ヘルス・サービスが必要な人の8割が必要なときにリプロダクティブ・ヘルス・サービスを受けられるようにする。また、5歳未満の乳幼児の死亡率をサハラ以南アフリカ諸国平均で1000人あたり50人以下とする。
BHIV/エイズ
2010年の治療・ケア・予防への普遍的アクセスという国際目標、アフリカで500万人を治療するという2007年ハイリゲンダム・サミットの誓約を踏まえ、早急に日本がリードして、これを実現するための資金・事業計画をG8諸国およびアフリカ諸国で形成し、2010年までに治療への普遍的アクセスを実現する。
C結核
2005年に結核非常事態宣言が出されたアフリカ諸国における深刻な状況を改善するために、現在策定中のストップ結核ジャパン・イニシアティブの詳細を2008年半ばまでに作成し、その実施により、2015年までに結核の有病率、死亡率を半減させるというストップ結核世界計画の目標に寄与し、これを達成する。
Dマラリア
2010年までのマラリアによる死者半減の目標を達成するために、各国と連携して、2013年までに、アルテミシニン多剤併用療法へのアクセスをアフリカ全土の8割に、またマラリア予防へのアクセスを必要人口の8割まで広げる。



V.気候変動
(1)適応策
適応支援は量・質ともにニーズに応じて提供される必要があり、将来枠組みに関する交渉の取引道具としてはならない。いかなる資金も、国連の枠組下の基金を通じて提供し、また気候変動対策の公正の観点から、ODA 0.7%目標とは別に追加的に拠出する。

(2)緩和策
日本が2020年までに1990年レベルから25−40%の幅で削減する中期目標を掲げる。

【*詳しくは、市民社会による「行動計画」の対案(英語)をご覧ください】



以上
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